愛知県の大村秀章知事が昨年末に発表した新計画案「あいちビジョン2020」はリニア新幹線開通を起爆剤とする大型開発推進計画です。消費税増税で増える財源で大型公共事業推進をねらう安倍自公政権のもと、愛知でも「人からコンクリートへ」の政治逆行がはじまっています。
借金づけ
大村県政は、愛知を「リニア大交流圏の中の一大産業拠点」に位置づけ、「国内外から人・モノ・カネ・情報を呼び込む」として、名古屋駅の「スーパーターミナル化」や駅周辺地域の超高層ビル建設など新たな大規模再開発に突進しようとしています。
名古屋駅への「40分交通圏」を形成するとして、県内主要駅とその周辺地域の再開発、自動車幹線道路の建設、企業用地の造成を促進する計画です。
県内の自治体で、開発優先、借金づけ、福祉切り捨て、地域格差がひどくなります。
需要無視
常滑沖の中部国際空港に2本目滑走路をつくる動きも強まっています。
国土交通省は、2本目滑走路建設に向け、名古屋港のしゅんせつで発生する土砂で同空港の隣接海域を埋め立てる計画です。
中部国際空港の旅客数と貨物量は2005年の開港以降減少。旧名古屋空港のピーク時を下回る状況です。2本目は無用、無謀です。
長大橋
昨年7月の参院選で自民党は大型開発事業バラマキの公約を出し、ゼネコン業界に4億7100万円の献金を請求しました。
同党愛知県連の目玉公約は知多半島と渥美半島を結ぶ「セントラル大橋」。「長さは日本最長の瀬戸大橋(岡山県―香川県)に匹敵し、兆円単位の超巨大事業」(「中日」)です。
伊勢湾口道路計画を復活させる動きも出ています。
設楽ダム
大村知事は昨年、国が東三河の豊川上流に計画している設楽ダムの建設を容認しました。
同ダムは、水需要の増大が見込めないのに、総事業費3000億円、県負担1400億円の大型ダム。希少生物が多数生息する河川環境を破壊します。
県主催の「とよがわ流域県民セミナー」で学者から反対意見がでています。
2011年の知事選で、長良川河口堰の開門調査を公約した同知事ですが、設楽ダムの建設を容認し、自民党に追随しました。
新たな県民のたたかい
消費税増税・社会保障改悪と一体の自民党型ゼネコン政治を許さない県民のたたかいが広がっています。
リニア新幹線計画の公聴会では反対意見が相次ぎ、不要不急のダムや道路建設、空港拡張の中止を求める運動がつづいています。