愛知民報

【13.03.10】新人弁護士が多重債務者に 給費制復活を求め市民集会

 司法修習生に国が給料を支払う「給費制」が2011年11月に廃止され、国がお金を貸し付ける「貸与制」に移行したことで、新人弁護士らが多重債務を負う事態が深刻化しています。

 弁護士、検察官、裁判官になるためには、2年ないし3年の法科大学院を修了して司法試験に合格後、約1年間の司法修習(研修)が義務付けられます。

 修習期間中、平日はフルタイムで研修、土日も予習復習が欠かせません。アルバイトは禁止。修習場所を決めるのは最高裁で、遠方への引越しが求められる場合もあります。

 愛知県弁護士会と全国の若手弁護士らが2月17日に名古屋市で開いた「給費制」の復活を求める市民集会では、1人の若者が弁護士になるまでに大学と院生時代の奨学金に加え、修習生への「貸与制」による債務が膨れ上がり、約830万円の借金を背負う例が紹介されました。

 県弁護士会の纐纈和義会長は「経済的困難を理由に、法曹を目指す人が激減している。基本的人権と社会正義の実現をめざす修習生に国が給与を支払わないのは人権侵害」と述べました。

 弁護士登録して1年目の小島寛司弁護士は「弁護士が借金を抱えていては、収入優先になり、行政訴訟など重要な事件を受けられない。給費制復活は急務」と訴えました。