愛知民報

【13.01.20】脱デフレ 所得と消費増やす政策を 

 物価が持続的に下落し、経済成長が止まるデフレーション。「デフレ脱却」を看板にする安倍自公政権は「アベノミクス」という新造語で目新しさを演出しますが、中身はデフレ不況を悪化させた旧自公政権の経済政策の焼き直しです。投機マネーを膨張させた金融緩和、消費不況をひどくした消費税増税と社会保障改悪、日本を借金漬けにした公共事業バラマキ…。国民の警戒と批判が高まっています。

 
 愛知県労働組合総連合(愛労連)と愛知国民春闘共闘委員会が7日朝、名古屋駅のトヨタオフィス前で行った春闘宣伝。出勤途上の労働者に「賃上げこそデフレ不況克服の特効薬」と訴えました。

減る労働者の賃金 増える大企業の内部留保

 労働者の賃金は1997年がピークで、その後は減少・横ばいです。とくに愛知県では08年のリーマンショックで全国一の“派遣切り”と賃下げが行われ、翌年の平均賃金は6・3%も低下しました。一方で大企業(資本金10億円以上)の内部留保はこの10年間で倍増し、267兆円にもなっています。
 

「あげるべきは 物価でなく賃金だ」

 なぜ物価が下がるのか。消費者が商品を買い控えるから。消費不況の最大要因は賃金の低下、家計の悪化です。

 日本にカネがないのでしょうか。庶民に回らないだけで、大企業には使い途がないほどあります。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査本部長・五十嵐敬喜氏は「マネーはすでにあふれている」と指摘します。「日本経済がデフレから抜け出せない主因は、マネーの不足ではなく、その使われ方が足りないことだ。日本であげるべきは物価でなく賃金だ」 (昨年12月4日付「日経」夕刊)

 労働運動総合研究所は昨年暮れ、全企業の内部留保460兆円の12・2%程度を活用すれば、賃金水準の1997年のピーク時回復、サービス残業根絶や最低賃金引き上げ、非正規雇用の正規化が実現でき、GDPは6%以上増え、736万人の新規雇用が生み出せるという試算を発表しました。

逆行するアベノミクス 日本共産党 参議院議員 井上さとし

 安倍政権の経済対策は目新しいものはなく、かつての自民党政権の失策の復活です。

 「対策」では、「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指すと明記しました。しかし、大企業が大もうけしても、雇用も賃金も改善しなかったことは国民が体験しています。

 10・3兆円の財政支出の約半分を公共事業にばらまき、無駄な道路やダムをつくることは、財政破綻の道です。

 安倍政権はまた、消費税増税の条件づくりのために「インフレターゲット」を打ち出しています。しかし、これでは物価が上がるだけで肝心の労働者の給与は上がらず、国民生活はますます大変です。景気対策ならまず消費税増税の中止です。

 国民の暮らしと家計応援の政策に転換させましょう。

たたかいスタート 愛知の各界から決意

 愛知の労働者の平均賃金は20年前に戻り、働く貧困層が増えています。この年始に「愛知春闘共闘」が掲げたスローガンは「賃上げこそデフレ不況克服の特効薬」。

 愛労連の榑松佐一議長は「安倍内閣の賃金抑制政策はまちがっています。今年の春闘は、賃下げから賃上げへ流れを変え、デフレから抜け出し、日本経済を救う国民的闘争です」と訴えました。

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 安倍政権は、来年4月に消費税8%大増税を予定しています。

 「消費税は庶民の家計を悪化させる最も不公平な税。デフレ脱却を言うなら増税の実施中止を約束すべき」と訴えるのは消費税をなくす愛知の会の岸野知子さん。「安倍さんのデフレ対策は一時的に経済成長率を上げて消費税増税を実施すること。これを許さない国民運動を展開します」

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 小泉自公政権が強行した社会保障費年間2000億円削減は貧困化をすすめ、消費不況を加速しました。

 安倍政権は年金や生活保護費の削減を実施しようとしています。

 愛知県社会保障推進協議会の西村秀一さんは「生活保護費は最低賃金や福祉の所得基準になっています。社会保障充実こそデフレ克服の良策です」と指摘。安倍内閣と自・公・民が消費税増税とセットでねらう社会保障大改悪を阻止する運動を呼びかけています。