愛知民報

【12.10.14】後期高齢者医療制度 75歳以上にこの仕打ち 差押え   2・4倍増 短期保険証  502件 保険証未交付者 76人

 75歳以上の高齢者 を加入させる後期高齢者医療制度で、保険料滞納を理由にした差押え、有効期限の短い短期保険証の発行、保険証未交付が急増しています。本紙が同制度の県広域連合に聞くと、市町村任せで具体例は把握しておらず、市町村も「規定どおりやっている」というだけです。スタート時に?姥捨て?と批判されたこの制度が高齢者の貧困化のなかで苛酷さを増しています。

 8月24日の愛知県後期高齢者医療広域連合議会で日本共産党の岡田ゆき子議員(名古屋市議)が、保険料滞納の状況と広域連合の対応を質問しました。
 滞納保険料の納入を督促する意味をもつ短期保険証の交付は今年6月末時点で502件。名古屋市179が最多です。
 有効期限切れで新しい保険証が渡っていない?無保険者?は76人にも及びます。
 2011年度には滞納者のうち138人が年金、預貯金、生命保険などを差押えられました。
 保険料は、年金月額1万5000円以上の人は年金からの天引き(特別徴収)。それ未満の人は口座振替か市町村窓口への直接納入です(普通徴収)。
 保険料と医療費の負担は、低年金・無年金の高齢者に重くのしかかり、保険料を滞納すれば命が脅かされかねない状態です。
 日本共産党には「生活できないほど苦しい。助けて!」の悲鳴が寄せられています。
 岡田議員は、差押え急増は異常であり、保険料の納付相談などの支援が必要だと指摘。「保険料を払えない人の生活は苦しく、短期保険証発行で医療が受けづらくなる。ほとんどの高齢者が何らかの疾患を持っており、保険証未渡しはあってはならない」と述べ、改善を求めました。

 

制度の廃止しかない 岡田ゆき子名古屋市議

 国民健康保険や社会保険だった人が後期高齢者医療制度に入れられ、保険料が一気に上がっています。「所得が同じなのに、75歳になると負担が増えるのはけしからん」と怒りが広がっています。
 民主党はこの制度を廃止する公約を反古にし、保険料の値上げを強行しました。怒りは尋常ではありません。
 憲法25条を実現するための国民皆保険が崩壊しつつあります。
 この制度が継続されれば未納者はさらに増えかねません。こんな年齢差別の制度は廃止するしかありません。

時代逆行の制度 全日本年金者組合 愛知県本部委員長 伊藤良孝さん

 かつて高齢者の医療費は窓口負担がゼロでした。長い間社会に貢献し、今は少ない年金で生活する高齢者の医療費無料は当然です。
 75歳以上の人を若い人と別立ての保険に囲い込み、高い保険料と1~3割の窓口負担を押し付ける後期高齢者医療制度はまったくの時代逆行です。
 年金者組合は県内で500を超える行政不服審査請求を出し、是正を求めて運動を続けています。医療費を無料化する先頭に立ちます。

民主政権の裏切り許さぬ 愛知県社会保障推進協議会事務局長 小松民子さん  

 野田政権は民自公3党協議で、消費税増税と引きかえに後期高齢者医療制度の廃止を断念し、公約をかなぐり捨てました。
 この制度への怒りが民主党政権誕生の力になったはずです。野田政権の裏切りは新たな高齢者の怒りを呼び起こしています。
 社会保障制度を解体する野田政権。高齢者の医療費負担を1割から2割へ、生活保護基準引き下げ、年金改悪などが目白押しです。
 こんな政権はやめさせるしかありません。