愛知民報

【12.09.16】震災がれき受け入れ撤回に 現地処理にめど 知事の専行に批判も

 大村秀章県知事は8月23日、震災がれきについて、被災地でがれき処理のめどがついたとして受け入れの全面撤回を表明しました。大村知事の独断専行、地元頭越しの計画に批判が高まっていました。
 知事は3月、名古屋港南5区(知多市)、中部電力碧南火力発電所(碧南市)、トヨタ自動車田原工場(田原市)に、がれきの焼却施設、仮置き場、最終処分場を建設すると表明。
 地元自治体も「寝耳に水」の状況で、住民から戸惑い、怒り、不安が噴出しました。
 碧南火力発電所近くの住民は本紙の取材に「放射能は目に見えず怖い」(66歳女性)「東京電力や政府の説明が信用できない」(67歳男性)と不安を述べました。農家や漁業者から風評被害の懸念も出されました。
 日本共産党碧南市議団は、禰宜田(ねぎた)政信市長に情報公開と住民合意を要望。4月の市議選では「住民合意と安全確保が前提」と訴えました。
 6月に同発電所の隣接地域で住民投票が行われ「受け入れ反対」が9割に迫りました。
 知多市の南5区は新舞子海水浴場の隣接地。子どもをもつ親らが、がれきや放射能の学習会を重ねました。日本共産党市議団は市民の運動に連帯し、市に「県の押し付けは許すな」と申し入れ。被災地を視察しました。
 田原市の林勇夫副市長は、日本共産党の訪問団に「県のやり方には憤慨している」と表明。同市を含む東三河の自治体は共同で被災地を調査しました。
 知事は6月20日に焼却炉新設中止を表明。その後、焼却施設を持つ自治体などに試験焼却を打診したものの、受け入れ先はありませんでした。