愛知民報

【12.09.02】大村「中京維新の会」 日本を危険な右へ 原発継続、消費税増税に道

 大村秀章愛知県知事が国政進出をねらい政治団体「中京維新の会」をつくり、「5つの改革戦略」を発表しました。

 橋下徹大阪市長の「大阪維新の会」と連携ための政策協議をすすめています。

 かつて昭和初期、右翼や軍人が「昭和維新」を叫びました。政党政治を排撃し天皇中心の軍部ファシズムの体制をつくる運動でした。

 橋下・維新と連携する大村・維新にも、国民の閉塞感と政治不信につけこみ政治の反動化をねらう危険な方向が見えます。

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 中京維新の会は、「既成政党には任せておけない」「地方から、大都市から変革の波を起こす」と、「5つの改革戦略」を並べています。

 第1は「国のかたちを変える」。

 中身は財界が主張する道州制と大都市への投資集中です。

 道州制のねらいは財界支配の強権国家づくり。国の仕事を外交、防衛などに特化し社会保障義務を解除します。首相公選制で国会から切り離した形で首相権限を強化します。

 国会は、衆議院と、地方首長が参加する「道州院」の2院制で、国民が直接選ぶ国会議員は衆院議員だけ。国民参政権の制限です。

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 第2の財政改革戦略は、大企業の負担軽減と国民の負担増です。

 消費税を地方税化する一方で、地方財政をささえている「地方交付税」を廃止します。

 地方が財源を増やしたければ、消費税を増税する仕組みです。

 法人減税をおこなう一方、国民には「行革なくして増税なし」の看板で福祉切り捨てか消費税増税かの選択を迫ります。

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 第3の社会保障改革戦略は自己責任の徹底です。

 年金・医療・介護は「負担に見合った給付への転換」をはかり、人権保障としての社会保障を解体します。「命もカネ次第」という過酷社会です。

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 第4は大企業のもうけを増やす成長戦略です。「再生可能エネルギーの研究開発投資」をいいますが、財界が嫌う「脱原発」や「原発ゼロ」はいいません。

 「楽市楽座」の名で大企業の活動を勝手放題にさせる規制緩和、大企業の税負担を軽減する法人減税、外国企業を誘致するための交通・情報通信などのインフラ整備への集中投資が戦略の中身です。

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 第5の外交・防衛は日米関係基軸、環太平洋連携協定(TPP)への積極参加です。

 憲法改定を明記していませんが、「自衛隊の存在力を高める」ことをうたい、9条改憲・軍事大国化に道を開けています。

 大村「中京維新の会」の政策は、ゆきづまった民主・自民「2大政党」の対米従属・財界中心の政治を「維新」のスローガンで立て直す危険な方向です。