愛知民報

【11.12.11】身近な水力発電 愛知池・東郷発電所 農業用水路利用 全国最大の実力

一般家庭換算 発電量2000戸分

東郷発電所
 自然エネルギーによる身近な水力発電が注目されています。農業用水を利用した全国最大の発電施設が東郷町にあります。日進市と東郷町の境にある愛知用水をせき止めて造った東郷調整池(愛知池)の水を利用する東郷発電所です。2005年3月に運用が開始されました。

 発電量は7・8万キロワット。この種の全国合計の発電量は29・9万キロワット(環境省2010年「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書より」)で、東郷発電所はその26%を占め、全国最大の実力です。発電量は一般家庭換算で2000戸分以上に相当します。

 東郷発電所の存在は、県民にあまり知られていません。同施設を管理運営しているのは水資源機構愛知用水管理事務所。作られた電気は同発電所と隣接する愛知用水総合管理所の運転に使用されています。一種の自家発電装置です。

 余った電力は本来なら、愛知用水に関わる施設に供給すべきところですが、送電線建設に費用がかかるため、中部電力に売電され、電気料金の一部に充当して管理費の負担軽減を図っています。

 同池から知多半島方面に向かうバイパス水路上に水車と発電機を設置し、21・49メートルの最大落差を利用して水車を回します。

 日本共産党の山内悟半田市議は同発電所に注目します。同議員は、半田市を含む知多半島4市5町の上水道の水源を現在の長良川河口ぜきから以前使用していた愛知用水(木曽川)に戻せと主張し続けています。日本共産党の地方政治専門誌『議会と自治体』8月号に掲載された資料で、愛知用水に農業用水路を利用した小水力発電所としては全国最大の、東郷発電所の存在を知ったと言います。

 同発電所の計画発生電力量は年間7300メガワット時。「一般家庭の年間消費電力に換算すると4人世帯の平均で2000世帯を超える家庭の年間消費量に相当」(水資源機構愛知用水総合管理所のホームページより)といいます。

愛知用水

 長野県の牧尾ダムを水源として1961年に通水を開始。阿木川ダム、味噌川ダムを新たな水源として加え、岐阜県から尾張東部の平野と知多半島一帯に農業用水、水道用水、工業用水を供給する水路。東郷調整池(写真)は幹線水路約112キロメートルのほぼ中央に位置する。
愛知池