愛知民報

【11.12.11】弥富市の企業誘致 民生費削り 港湾開発へ財政投入

福祉増進へ 日本共産党の役割重大

弥富ふ頭の岸壁
 弥富市の服部彰文市政は、「生活支援」から「企業誘致」へのシフト替えを推進しています。今年2月に策定され、2013年度を目標年度とする「弥富市第2次行政改革大綱」にその特徴がはっきり表れています。

 第2次行革改革は10年度を初年度にスタートしました。市予算の特徴は商工費の大幅な伸びです。商工費は07年度1億3895万円から11年度には5億1182万円と3・7倍に増加。他方、民生費は1・3倍にとどまっています。11年度の当初予算では、民生費を前年度比88・2%に抑える一方、商工費は145・9%に伸びています。

 商工費の最大の増加要因は、港湾地域への企業誘致事業。10年度のこの事業費は、子ども医療費無料事業費を超える2億2933万円(目標19件、1社当たり平均1200万円)にのぼり、市商工会事業費補助の7倍となっています。

 誘致事業の中心は「企業立地指定企業交付奨励金」の交付。立地した企業に対し3年間は固定資産税相当額の金額を交付し、4年目と5年目はその半額を交付する、事実上の減税による優遇措置です。交付対象は「名古屋港管理組合が行う港湾地域における企業」に特化されています。

 国土交通省中部地方整備局名古屋港湾事務所が07年12月に公表した「名古屋港弥富ふ頭多目的国際ターミナル整備事業」の計画資料によると、輸入木材取扱量が減少するなかで、弥富ふ頭の展望として「自動車輸出基地」がめざされています。

 この計画方向を受けた愛知県の「西尾張地域基本計画」は、「特に重点的に企業立地を計るべき区域」として弥富ふ頭と鍋田ふ頭をあげています。

 弥富市の企業誘致事業は、「自動車輸出基地」化をめざす国・県の名古屋港国際港湾戦略に組み込まれ、そこへの市税投入です。

 いま、名古屋港の国際戦略港湾開発はアジアのハブ港をめざす国の「ハイパー中枢港湾」選定から外れ、現在は東名古屋港(知多方面)の国際バルク港湾開発が重点です。自動車輸出は名古屋港の取り扱い貨物の主力ですが、将来展望は不透明です。

 奨励金が地元の経済振興、雇用拡大、自治体財政の拡充に役立っているか、過大な用地造成事業の尻ぬぐいになっていないか、検証が必要です。

 弥富市では来年2月に市議会議員選挙が行われます。弥富市政を「福祉増進の機関」として前進させるため、福祉・くらし優先を訴える日本共産党の役割はいよいよ重大になっています。