住民と共産党が共同
東海市と知多市が、地震時の液状化危険地域に計画した病院建設予定地が8月29日、白紙に戻されました。白紙撤回を求め、市民アンケートや署名収集などに取り組んできた日本共産党と住民の共同の運動が実りました。
両市は、東海市民病院と知多市民病院の医師不足や赤字解消を理由に病院統合・新病院建設で合意し、2010年4月に経営統合しました。両市でつくる西知多医療厚生組合で建設計画を検討してきました。
今年1月に市民が知った新病院建設予定地(知多市)は、西知多産業道路や製鉄工場、火力発電所に隣接した埋立地。自動車騒音や降下ばいじんの被害が大きく、市のハザードマップ(災害予測地図)では、液状化危険地域に指定されています。
3月11日に起きた東日本大震災で、市民は、病院が津波で倒壊、流失し、道路も寸断され、医療活動ができない実態を目の当たりにしました。「液状化の危険地域に新病院とは…」と衝撃が走りました。
4月の知多市議選で日本共産党は、福祉・防災のまちづくりと、「新病院の予定地は白紙にし、今の市民病院を充実させよう」と訴え、大きな共感が寄せられました。
市民グループ「市民病院統合問題を考える会」(柿野尊廣代表)は、「液状化の危険がある場所に新病院を建設しないで」の議会請願署名に取り組みました。
東海市の日本共産党市議団は、3月議会で計画の見直しを要求。市議団が集めた550人のアンケートでは、「病院合併ではなく、東海市民病院の存続」を求める声が8割を超え、合併そのものへの疑問も高まりました。
同市の「市民の声を生かした病院をつくる会」(石浜照美世話人)は、4月末から計画の撤回を求める議会請願署名にとりくみ、40日間で5300人の署名をえました。
石浜さんは「大震災の被災地で、自治体病院の医師と看護師らが不眠不休でがんばる姿を見て、公立病院が安全な場所にあることの大切さを知った。病院統合の動きは市民不在だ。情報を公開し、市民参加で検討すべき」と言います。
請願は、両市の6月議会で審議されましたがいずれも否決。賛成は知多市では日本共産党の2議員、東海市は共産党の2議員と無所属の1議員でした。
一方、知多市の6月議会で黒川親治・共産党市議が厚生組合議員に選出されました。同氏が市民グループが提出した請願の紹介議員になり、「現在の予定地での病院建設反対」と奮闘したことが市民を激励しました。
こうした市民と共産党の共同の運動が、両市と厚生組合の態度を変えさせ、予定地の白紙撤回を実現させたのです。
もともと、病院の赤字経営の大きな原因は深刻な医師不足と診療科目の縮小などにあります。国の公立病院統廃合政策の転換が求められます。
東海市の辻井タカ子日本共産党市議は「建設場所の白紙は市民運動の成果です。市民がより良い医療を受けられるように運動を続けたい」と話しています。