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水田つぶし大型倉庫 水害・騒音不安 中止求め住民集会

提訴に向けて住民に説明する浅井会長=6日、愛知県一宮市

 愛知県一宮市の住宅地で大型倉庫の建設計画をめぐり、住民は6日に市内で集会を開き、市を相手に開発許可の取り消しを求めて住民訴訟を起こす決意を固めました。

 建設計画は、同市浅野羽根地域の住宅街に隣接する水田約1万7千平方㍍を埋め立て、民間の運送会社が冷凍・冷蔵倉庫を建設するもの。この地域は何度も浸水被害を受けており、水田は「天然の貯水池」として機能してきました。なくなれば住宅街の水害リスクが高まります。

 反対する住民は「浅野羽根地域の生活環境を守る会」を結成。水害リスクの増大や騒音、振動などの環境悪化を訴え、建設中止を求める1195人分の署名を提出。しかし、請願は賛成少数で不採択になりました。さらに住民103人が行政不服審査請求をしましたが市開発審査会が棄却しました。そのなかで、市や市開発審査会が浸水被害や健康被害の可能性を考慮しないまま、開発許可処分をだしていたことが明らかになりました。住民は、必要な手続きや住民への説明責任を定めた都市計画法に違反するとしています。

「守る会」の朝井哲二代表は「ビラ配布、市役所前や建設地でのスタンディング、署名行動など多彩に取り組んできたが、請願は不採択、行政不服審査請求も棄却された。市は開発を優先し、住民の生活を軽視している。開発行為を許可した市の横暴を裁判所でしっかりと判断してもらおう」と話しました。

 小島寛司弁護士は、「市の都市計画では水田の貯水機能によって水害を防止するとしているのに、水害リスクを増大させる開発を許可したことは矛盾している。市も開発審査会も、住民の生命、身体の安全を全く考慮せず、説明責任を果たしていない。この処分は明らかに違法であり、取り消されるべきもの」と語りました。

 参加した住民からは「建設地前は小中高生の通学路。住民だけでなくPTAなど地域のグループも反対運動に参加してほしい」など意見が出されました。

(11月9日 しんぶん赤旗)