共産党「正社員化の夢奪わないで」 協会側「埼栄現の生活保障は必要」
日本共産党愛知県委員会と愛知県経営者協会の懇談が3日、名古屋市中区の同協会内で行われ、今国会で審議中の労働法制について率直な意見交換をしました。協会側から「派遣法改正について共産党の考えをお聞きしたい」と口火をきって始まった懇談は、最低賃金や過労死問題など多岐に及び、1時間30分の白熱した議論になりました。
共産党からは、わしの恵子県議、植田和男党県労働部長が参加。県経営者協会は、協会幹部が応対しました。
わしの氏は派遣法改悪案が正社員への「みなし制度」規定を事実上撤廃する問題を批判。「3年働いたら正社員になれると希望を持っている人が私の知り合いにもいる。その夢を奪うことになる」と指摘しました。
協会側は「正社員以外で働きたいというニーズに応えることも必要。バブル崩壊後、正社員の制度だけでは日本が競争力に勝てなくなった」と派遣労働の必要性を指摘。一方、「働く能力や正規・非正規で(賃金に)差がある人に対し、最低限恵まれた生活ができるようにする政策も必要」とのべました。わしの氏は「働く人が安心できる制度にすることでは一致しているわけですね」と応じました。
わしの氏らは、労基署の調査で8割近くが過労死ラインで働かされている実態を紹介し、「明日やればいいとか、過労死させるほどの残業をさせない指導をするなど、経営者が考えてはどうか」と質問。協会側は「共産党さんがやられているブラック企業の問題は大事なこと。新たな規制をつくるのではなく、今の制度を守らせることが必要だ」と答えました。
協会側からは、リーマンショックのような雇用が守れないことも起こりうるとし、「非常事態の策を共産党も考えてほしい」と注文。わしの氏らは「大企業は多額の内部留保を抱えている。労働者を支える資金として活用してはどうか」と要望しました。
最低賃金について共産党が、中小企業支援とセットにした全国一律の1000円以上を要求していることを紹介。協会側は「働いても食べていけない人が出るのはよくない。いくらにするかは議論のあるところ」とのべるにとどまりました。
わしの氏らは「経営者のみなさんと本音の話をしたい。一致点があればお互いに政府に働きかけをしてもいい」と提案し懇談を終えました。
同協会は中部電力、名鉄、豊田通商など県内に本社・事業所のある922社の会員で構成されています。
(6月5日)