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リニアで陥没誘発? 地下廃坑の下通過に住民不安

 
 リニア中央新幹線が亜炭廃坑の真下を通れば、陥没を誘発するのではないか―。愛知県春日井市の不二ガ丘周辺で、JR東海がリニア工事のためのボーリング調査を実施しており、トンネル工事への住民の不安が広がっています。

 不二ガ丘周辺はかつて亜炭坑が縦横に掘られ、坑道の劣化が原因とみられる陥没が今年だけでも2月と3月に起こっています。(写真は3月陥没地点、春日井市出川町、ブランコの真下がぽっかり落ちている)

 不二ガ丘の3町内会で作る「不二ガ丘区」自治会では、JRに対し、2013年に「亜炭廃坑の中は水が充満しており陥没の防止になっているが、工事及び供用開始により振動などで水が抜けることはないか」などの意見書を送りました。

 しかし、JRからは直接の回答はありません。昨年12月15日の「不二ガ丘」の事業説明会では、「トンネルは亜炭廃坑より深いところを通るので問題はない」との従来の大まかな見解を示すだけでした。

 説明会に参加した女性(65)は「JRは高飛車な態度で回答していて信用できない。リニア工事には公共事業のように情報公開の義務がないとのことで、本当にどこを走るのかさえ疑問です」と危惧を表明します。

 不二ガ丘周辺の亜炭廃坑の深さは、地下7~14メートルで、中心部から500メートルほど離れた、芝鉱業が掘った竪坑は地下約29~54メートルの炭層を採掘したとみられています。それに対し、JRはリニアトンネルの深さを地下60~80メートルの予定にしており、廃坑の下を通るつもりでいるのは確かです。

 現在、JRが不二ガ丘でボーリング調査をしているのは3地点。いずれも深さは80メートル以深。3月から3丁目の駐車場(地図①)、4月からルート直上の不二ガ丘公園内(地図②)の2カ所、5月日には芝鉱業の竪坑付近(地図③)で作業を始めました。

 JR東海広報部は「無数というわけにはいかないが、今後も調査地点を増やしていく」と本紙に回答しています。

 不二ガ丘公園近くに住む男性(76)は「ボーリングで廃坑や地下水脈がどれだけわかるのでしょうか。JRは大丈夫というけど、トンネルが深くても水脈が通じていれば、漏れて陥没の危険が増すはずだ」と指摘します。
 加えて住民を不安にさせているのは、JRが民家の現況調査をやると言わないことです。亜炭廃坑の調査をしている地元の男性(76)は「東京環状道路の建設工事では一部で現況調査をやっています。家屋に支障が出たかどうかを証明するには現況調査が必要になってきます。なぜJRはやらないのか」と憤ります。

 陥没現場に駆けつけ、市議会で原因追及をしている日本共産党の伊藤けんじ市議は「リニア問題は亜炭鉱だけではないが、不安を無視して工事を行おうとするところに、JRの姿勢が表れている。リニア計画に反対するとともに、工事の影響への対応を求めていく」と話しています。

(6月4日)