愛知民報

【18.07.29】一宮市 学校給食センター運営のPFI導入 「デメリット多い」 日本共産党一宮市議 ひこさか和子

 一宮市は、老朽化した市内2つの学校給食共同調理場を更新するための基本計画と新規整備する施設の基本計画の策定、PFI手法などの導入調査を実施するための業務委託料、総額約1886万円を補正予算に計上。同予算は6月議会で成立しました。PFIとは、自治体が直接施設を建設せずに民間資金を利用して民間企業に施設整備とサービスの提供をゆだねる手法のこと。日本共産党一宮市議団は「PFIではなく市の責任で整備を」と主張しています。ひこさか和子市議からのリポートを紹介します。

2市1町合併

 一宮市は2005年に一宮、尾西の両市と木曽川町が合併し現在の市域になりました。小中学校給食の調理方式は、旧一宮地域は各1万4000食のセンター2カ所、尾西・木曽川両地域は各学校の調理場でつくる自校方式が継続されました。いずれの調理場も老朽化がすすんでいます。
 市は17年3月、「一宮市学校給食調理場整備基本構想」を策定。その内容は、一宮地区47校分の共同調理場の整備を早急に進める(9000食2カ所、8000食1カ所)、尾西・木曽川地区14校の自校方式は当面維持するというものです。

 

住民運動

 一宮では14年10月に、より良い小中学校給食の実現をめざし「一宮の学校給食を考える会」が結成されました。1万4000食のマンモス調理場や、低学年の子どもたちが階段を上り下りして給食を教室まで運ぶ危険な実態、食物アレルギーや調理員の役割などの学習会をおこない、給食費の値上げ反対、配膳員の配置、設備の改善、自校方式の拡大など市への要求を掲げた署名を集めました。
 基本構想案について、371名の市民から799件のパブリックコメントが市に届きました。その多くは「尾西・木曽川の自校方式堅持」「一宮地区も自校方式に」でした。その結果、尾西・木曽川地区の自校方式を当面守ることができました。

 

市議会で質問

 市は昨年3月、「一宮市PPP/PFI手法導入優先的検討指針」を策定しました。学校給食共同調理場更新はこれに該当するため、市はPFI導入可能性調査の実施を決定しました。
 私は6月議会で学校給食の目的を果たすためPFI導入ではなく市の責任で整備するよう求めました。
 市は、PFIを知らない市民が多いなかで事業手法を決定しようとしています。PFIのデメリットを広く知らせるなど、今後の取り組みが必要です。

 

学校給食は教育の一環。市直営で

 

 一宮の学校給食を考える会は1日、萩原聡央名古屋経済大学教授を迎え、「PFIと学校給食」をテーマに学習会を開きました。
 萩原氏は、「学校給食は教育の一環として位置づけられるべきもので、学校給食に係る業務は小中学校の設置者がおこなうべき。民間委託、PFI導入は望ましくない。学校給食の在り方の検討を進めることについて公開と参加にもとづく十分な議論が必要。コスト重視の考え方から脱却することが求められる」と強調。
 PFIのデメリットとして、住民参加や情報公開が困難▽運営支出の抑制、業務の質の低下の危険性が高まる▽安価な労働力、劣悪な労働条件のもとでの業務▽業務への信頼が確保されるのか疑問▽業者の選定手続きにおける民主的統制が不十分であれば、行政の腐敗や汚職を生みだしかねない―などを指摘しました。

「一宮の学校給食を考える会」がおこなった学習会で萩原聡央名古屋経済大学教授の話を聞く人たち=1日、一宮市(写真提供・ひこさか和子一宮市議)