愛知民報

【18.06.24】『焔の群像Ⅱ』に想う 元日本共産党愛知県議 林 信敏

 先頃、愛知県民の環境運動記録『焔(ほむら)の群像Ⅱ』が発刊されました。
 本書には、故人となられた、愛知公害調査の会代表の今井寿穂さん、新幹線公害訴訟原告団長の中野雄介さん、名古屋南部あおぞら裁判原告団長の田部井康壽さんへの追悼文が掲載されています。 私にとってもかかわりの深い方々です。

カンカラ運動

 生前、通産省名古屋工業試験場の技官だった今井さんが指導しておられた愛知公害調査の会への参加がその後の私の人生に大きく影響しました。
 大学生活を終えて名古屋市熱田区の実家に戻った私に、日本科学者会議の関係筋から「公害調査の会をつくる。参加しないか」と誘いがかかりました。
 名古屋南部地域では、工場から排出される亜硫酸ガスなど有害物質によって健康被害がおきていました。南区では「柴田ぜんそく」と呼ばれました。しかしまだ、実効ある公害規制も被害者救済制度もありませんでした。
 公害調査の会の活動は、粉ミルクの空き缶につるした試験紙に大気中の亜硫酸ガスを吸着させ、その濃度と地域分布を調べる取り組みです。「カンカラ運動」と呼んでいました。
 今井さんが指導された公害調査運動は大気汚染への住民の認識を広げ、排出規制と公害患者救済を求める運動に発展していきました。
 私は、熱田区のなかでもっとも臨海部の工業地帯に近い千年地域に入り、カンカラ運動の協力者を求めて歩きました。

新幹線公害

 その協力者のひとりが中野雄介さんでした。「港湾関係の労働組合役員がいる」と聞いて、新幹線直近の中野宅を訪問しました。
 病気になれば24時間寝起きする住宅内で初めて新幹線の騒音と振動を体験しました。戸外とは異次元の〝衝撃〟でした。
 千年地域に隣接する南区の明治地域では、新幹線公害反対の住民運動が起きていました。当時、名古屋大学医学部公衆衛生学教室の中川武夫先生が協力しておられました。
 中川先生や千年地域在住の高木輝雄弁護士の援助を得て、中野さんを中心とする千年地域の新幹線公害反対同盟ができました。私は会報づくりや環境運動団体との連絡などを手伝いました。

政治の場へ

 私は、 大気汚染、新幹線公害、自動車公害に反対する住民運動を経験し、熱田区の市議選立候補をへて、安藤いわお衆院議員の地元秘書になりました。
 安藤さんは弁護士で、四日市公害ぜん息裁判の原告弁護団を経験されました。国会議員としての活動の柱は、公害をなくし、住民の健康と環境を守ることでした。

あおぞら裁判

 後年、私が南区の県議選に日本共産党から立候補したとき、応援していただいたのが名古屋南部大気汚染公害訴訟(あおぞら裁判)原告団長の田部井さんです。
 県議に当選した私は県議会の環境委員会に所属し、県政の場で公害をなくし環境を守る仕事に取り組むことができました。
 今井さん、中野さん、田部井さん、改めて心よりご冥福を祈ります。 『焔の群像』の編集者のみなさまに感謝申し上げます。