愛知民報

【17.01.15】2017年愛知の労働運動 広がる連帯 格差と貧困なくす経済デモクラシーを

最賃労働者が層に 蓑輪明子名城大学助教

 愛労連と愛知春闘共闘は7日、名古屋市内で新春大学習会をおこないました。
 蓑輪明子名城大学助教(現代資本主義論)が講演。1990年代以降の若者・中年層での貧困の広がりと放置を許さない運動が広がっていることを報告しました。
 その上で、時給1500円への最低賃金(最賃)引き上げ、中小企業支援、社会保障拡充を求めている市民団体「エキタス」(ラテン語で公正)について詳しく話しました。
 「高校時代に父親がリストラされて生活が破たんした」「母、妹、自分が働き、奨学金を借りて大学に通っている」という「エキタス」に参加する若者の悲痛な声を紹介。
 「一見普通に見える学生でも、よく聞くとブラックバイト、奨学金などで大変な目に遭っているケースがある」と指摘しました。
 蓑輪氏は、「若者が政治に怒りを持っていても、運動の受け皿がなければ立ち上がることができない。最賃引き上げ運動はその中核に座るもの」と力説。
 最賃引き上げの運動が共感を広げる背景として、「最賃ラインで働く労働者が層として形成されている。労働者のおよそ4割が非正規雇用。非正規で働く人の9割以上が年収300万円未満。正規労働者でも賃金減少、長時間労働化が著しい」と述べました。
 今後の運動の方向に触れて、蓑輪氏は「?社会主義?を肯定する傾向が世界的に広がっている。新しい社会運動を担う若者が支持基盤になっている。日本での野党共闘への期待もその一つ」と強調。春闘勝利への期待を語りました。

2017年トヨタ総行動

 愛労連、愛知春闘共闘は今年も、トヨタ自動車に社会的責任を果たさせることを訴える「トヨタ総行動」をおこないます。2月4日午後1時半から刈谷市産業振興センターで学習会「トヨタシンポジウム」、3月20日に豊田市山之手公園で決起集会をおこないます。

通常国会対決点

 20日に開会される通常国会は、安倍政権が強行を狙う残業代ゼロ法案など「働き方改革」をめぐるたたかいになります。
 日本共産党など野党4党は残業の上限規制などを盛り込んだ長時間労働規制法案の成立に全力をあげます。

16年 労働者のたたかいが行政動かす

★ブラック規制
 愛知労働局は昨年2月、過重労働解消へ事業所の重点監督の結果を発表。県内では368事業所のうち239事業所(64・9%)で、違法な時間外労働や残業代不払いなどの労働基準法違反を確認し是正指導を実施しました。

★電通強制捜査
 厚生労働省は、広告最大手の電通の新入女性社員(当時24)の過労自殺の労災認定をうけ、電通の本社や中部支社(名古屋市)などを労基法違反の疑いで強制捜査。労働時間の過小申告が常態化しているとみられています。

★残業代支払わせる
 厚生労働省は昨年12月27日、「サービス残業」(不払い残業代)問題で、監督指導の結果を発表しました。2015年の是正額は、99億9423万円と発表。是正された企業総数は1万9411社。トヨタなど大企業が多数含まれています。