愛知民報

【16.08.14】国民健康保険料(税)差押え続出 

 国民皆保険制度の根幹である国民健康保険(国保)で生活資産が差し押さえられ、生活に困窮する事態が発生しています。保険者の市町村は払いたくても払えない世帯にも徴収を強化しています。
 

加入世帯の15%

 県内のすべての市町村を訪問し、医療・介護・福祉の充実を求めている「愛知自治体キャラバン」の調べによれば、2015年6月1日現在、国民健康保険料(税)の滞納世帯は15万7322世帯。県内の国保加入世帯約112万世帯の15%にのぼります。

強制的に現金化

 被保険者が納期限を越えても保険料(税)を納めない場合、市町村は財産を差し押さえます。現金・預金の場合は直接取り立てますが、不動産(土地や建物)、動産の場合は売却してお金に換えます。
 2014年の差し押さえは、全県で1万2735件。金額は約4億8000万円。内訳は、預貯金が約8500件、不動産が約1300件、生命保険が約900件。名古屋市の差し押さえ件数は約3200件。金額は3億円を超えます。

徴収強化許すな

 地方税法第15条7項は、「生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは差し押さえを解除する」ことを定めています。
 キャラバン実行委員会は「滞納世帯の多くは払いたくても払えない世帯。徴収強化は許されない」と主張しています。

国保税 10億円超取り立て 愛知県地方税滞納整理機構

 
 愛知県は2011年、市町村税の未収金の縮減を図るとして、「愛知県地方税滞納整理機構」を設置しました。設置期間は14年3月までの3年間でしたが、17年3月まで延長されています。15年度は54市町村のうち47市町村が参加。同機構は約43億6600万円の滞納金額を市町村から引き継ぎ、約25億300万円を徴収しました。
 税目別では、国民健康保険税が約10億3700万円で約4割。個人住民税約9億6000万円、固定資産税・都市計画税約4億8000万円と続きます。
 同機構は、県と市町村の徴税吏員が相互併任する任意組織で事務権限は市町村に残されています。 服部守延愛知県商工団体連合会副会長は「営業と生活を脅かす強権的な取り立てがおこなわれています。機構は解散して、市町村が直接納税相談をするべきです」と話しています。