愛知民報

【13.06.23】暮らし支えるコミュニティバス 高齢者も気軽に外出

“買い物できる”

 「買い物や病院に行きたくても自家用車がないと不便。路線バスは廃止された」――。国が2002年、道路運送法改正でバス事業者の参入・撤退を自由化したことで、地域交通が破壊されました。これに対して地域住民や日本共産党議員らが共同して自治体にコミュニティバス運行を要求し、県内の多数の自治体で実現しています。(本紙・村瀬和弘)

試乗ルポ こまき巡回バス

 
 「小牧市役所前」バス停は大型ショッピングセンターの前。バスの時間が近づくと、買い物袋を提げた利用者が集まります。

 70代の女性は「買い物はここまで来る。自宅の近くにはまとまった買い物ができる店がないからね」

 記者もバスに乗り込み、さらに話を聞きました。「見てごらん。工場や倉庫が多くて店なんかないでしょう。タクシーに乗ったら片道1800円だよ」

 「こまき巡回バス」は市内8コース。6コースは市役所と市民病院を経由し、病院は玄関前に横付け。車両は車椅子で乗り込めるノンステップバスです。

 平日も土日・祝日も同じ時刻表です。運賃は大人200円で、1日何度でもフリー乗車できます。

 65歳以上は無料。?顔パス?で乗車証はありません。白髪の女性は「タダというのはいいね。市役所や通院、買い物にも便利。入り口に階段がないからひょいと乗れる」と話していました。

 日本共産党小牧市議団は、20年以上前から公共交通の充実を要求し、市民から署名も集め、議会でも繰り返し取り上げてきました。最初バス4台でしたが、8台に増えました。65歳以上無料化で乗客も増えました。

 竹内里美市議は「今後はバスの本数増、タクシー補助などの実現を求めたい」と話しています。

高齢者・障害者優待 無料の自治体も増加

 長久手市では10路線で「Nバス」を運行。1乗車100円で、乗り継ぎポイントで他の路線を利用するときは無料券が発行されます。

 65歳以上と障害者は優待カードを提示すると無料。カードは市内の温泉施設割引券にもなります。同市は65歳以上の人には年1000円分の「リニモカード」も配布しています。

 県内の自治体バスの多くは100~200円の均一運賃。豊田市の山間部など距離制運賃のところもあります。碧南市、刈谷市、愛西市など全線無料の市町もあります。

 知立市や安城市は、運転免許証を自主的に返納した高齢者を対象にした優待制度を設けています。

 市が既存の路線バスに補助し、利便向上を図るケースもあります。江南市では今年4月、名鉄バス2路線が拡大再編されました。
 

交通権保障は国の責任 桜花学園大学教授 森田優己さん

 高齢者、障害者を優待するのは「社会参加の保障」という交通権の考え方です。これは国民に対する支援で、当たり前のことです。住んでいる自治体の違いでサービスが異なるのはおかしい。総合的な交通体系整備は国の責任です。