愛知民報

【12.02.12】大村・河村・橋下・石原「連携」どこへ行く? ?反動的逆流 

 「自民も民主もダメ」が国民的常識になるなか、橋下徹大阪市長、大村秀章愛知県知事、河村たかし名古屋市長、石原慎太郎東京都知事といった自治体首長が率いる政治団体が“連携”し、次期総選挙に候補者擁立をめざす動きが出ています。これをどう見るか、彼らはどこへ行こうとしているのか、愛知と名古屋の状況を中心に本紙記者が意見を交わしました。

危険な逆流

 A 愛知の大手マスメディアは、橋下・大村・河村氏らの「連携」や「溝」を連日のように書き立てている。

 B 昨年11月の大阪府知事・市長ダブル選で、橋下氏の独裁志向が問題になり、「独裁か反独裁か」が争点となった。

 石原、大村、河村氏は橋下氏を支援した。“独裁連合”だ。みんなの党も合流した。

 C 彼らに一致しているのは、改革ポーズで大都市部の「二大政党」離れの世論を引き付け、選挙で勝ったら「民意」を口実に、日本全体を反動的な強権政治の体制へ持っていこうとしていること。

 B 2009年の政権交代で、対米従属・財界奉仕の悪政を変えたいという国民の願いが噴き出した。民主党政権に代わったが、鳩山、菅、野田の3代の内閣を経て、完全に自民党政治への逆戻りだ。

 そこで、国民の閉塞感と改革の願いを逆手にとり、改革ポーズで対米従属・財界奉仕の建て直しをはかる。

3大都市圏

 A 自公政権や民主党政権のやり方は、まどろっこしいと。

 民主、自民の中にも強権志向の動きがあるが、なぜ3大都市圏の首長連携なのか。

 B 東京・名古屋・大阪の3大都市圏に日本の権力、財力を集中し、大企業が大もうけできる場所をつくる。大型開発、減税、補助金の大盤振る舞いだ。アジアと世界から多国籍企業・大企業を呼び込めば、日本経済が「再生」すると考えている。

 C 大村知事の「日本一愛知の会」は露骨だ。もう日本には国土全体を均衡発展させる力はない、「選択と集中」の時代だ。3大都市圏を“繁栄”させることが強い日本をつくるエンジンになると言う。

 A ある学者は「太平洋ベルト地帯のみが世界とつながって不夜城に輝き、その他の地域は闇に沈み、国土は荒廃する未来像」と批判しているね。

 B 不夜城の中身はギャンブルのカジノ誘致というひどい話だ。

核武装論も

 B 都市のあり方についてはまたあとで話し合うとして、彼らは「既成政党と首長新党の対決」を描こうとしているが、これは偽りの対決だと思う。

 改憲、地方自治破壊、財界応援の角度から見ると、彼らは既成政党の自民・民主と変わらない。

 B 石原、橋下、大村、河村4氏とも右寄りの改憲論者だ。

 石原氏は日本の「核武装」を主張している。河村氏も民主党の衆院議員時代から9条改憲、軍隊保持、靖国神社参拝、「従軍慰安婦」の軍の関与を否定する“靖国派”だ。

 C 河村市長は名古屋市議会で、旧日本軍の南京大虐殺の事実を否定し、歴史教科書の採択に介入する姿勢を示したことがある。

教育支配

 A 橋下・大阪維新の「教育基本条例案」が問題になっている。 映画監督の山田洋次さんや女優の竹下景子さんら著名人が呼びかけ人になって反対のアピールが発表された。

 B 首長が教育目標を定め、意に沿わない教育委員をクビにできる。憲法違反が指摘され、教育の政治的中立性を侵すと、大阪や堺の市議会では維新の会を除く全会派によって否決された。弁護士会やPTA協議会も反対している。

 A 橋下市長は石原、大村両知事に連携を呼びかけ、両知事は応ずる態度を示した。

 B 彼らの国政進出の目的の一つは反動的な「教育改革」。方向は自民党の「教育再生」論と同じだ。

 C 反動的「教育改革」は、多国籍企業に都合のよい人材育成や公教育の民間企業化もねらっている。愛知でも、強い警戒とたたかいが求められている。