愛知民報

【12.02.12】ブラジル人労働者 職場復帰 トヨタ系部品メーカー・中外 雇い止め撤回

労組つくり裁判勝利

 
 トヨタ自動車などの部品メーカー「中外」(名古屋市中区)から雇い止めされた7人のブラジル人労働者が、社員としての地位確認を求める裁判で勝利。1月6日に職場復帰を果たしました。

 トヨタは、下請けいじめと派遣や外国人など無権利な労働者を使い捨てて莫大な利益をあげています。これを許さなかった彼らのたたかいは、大企業の横暴に苦しむ多くの労働者を励ましています。

 7人はJMIU(全日本金属情報機器労働組合)愛知支部中外分会の役員で、同社三好工場(みよし市)の有期雇用労働者です。

 彼らは以前は派遣会社の社員で、中外に派遣されていました。ところが派遣会社は2004年4月、彼らとの雇用関係を解消し個々人を個人請負に置きかえました。ねらいは、労働者を労災・雇用・健康保険の対象から除外して会社の負担を減らし、賃金を「外注費」に偽装して会社が支払うべき消費税を回避することでした。こうして、中外社員がブラジル人労働者を指揮命令する、法律違反の偽装請負が行われました。

 労働者は労働組合を結成して中外に直接雇用を要求。国会で日本共産党の塩川鉄也衆院議員がこの偽装請負の是正を求めたことが力となり、中外は07年、約100人のブラジル人労働者全員を直接雇用しました。労働組合はその後、会社との間で、長期雇用の努力をし雇い止めの場合は事前協議するという覚書を交わしました。

 ところが会社が、09年に受注減少を口実に組合役員7人を雇い止めしたため裁判に。裁判は「雇用契約は6カ月を限度として更新されていくことが予定されていた。雇い止めを相当とする事情はない」と、一、二審とも労働者が勝利しました。会社側が控訴を断念し、職場復帰が実現しました。

 JMIU中外分会のロベルト・コバシガワ分会長は「みなさんの支援があったからたたかい続けることができた。みんなが元気に働き続けられる職場づくりへ、仲間と力を合わせてがんばります」と話しています。

 JMIU愛知地本の平田英友委員長は「有期雇用労働者の地位が裁判で認められ、職場復帰したのは画期的だ」と話しました。

 勝利の要因は、解雇された者と職場の仲間が力をあわせてたたかったことです。平田委員長は言います。「彼らは家族ぐるみで団結を深め、たたかいのポイントとなった直接雇用の要求も自分たちで話し合って決め、会社に?簡単には解雇しない?という覚書を結ばせた。いま彼らと、もっと組合員を増やし、安心して働き続けられる職場にしようと話し合っています」

(写真提供・JMIU愛知地方本部)