愛知民報

【12.01.22】定数削減 国会も市会も 民意切捨て 野田政権 河村市長 響きあい

日本共産党名古屋市議団 田口一登幹事長にきく

 
 民主党・野田政権は消費税10%増税・社会保障改悪とセットで衆議院比例定数の削減を強調しています。暮らしと民主主義の一体破壊です。この動きに乗じてか、国政進出をめざす「減税日本」の代表・河村たかし名古屋市長が名古屋市議会の定数削減を言い出しています。同市長は「毎日」紙のインタビューで、名古屋市議会の議員定数の半減を提唱しています。これについて田口一登・日本共産党名古屋市議団幹事長に聞きました。

 ――市長発言をどう受けとめていますか。

 議会制民主主義に対する重大な攻撃です。

 市議会の各派代表で構成する議会改革推進会議では定数も検討課題ですが、内容と方向は未定です。定数問題には人口に応じた適正配分や「一票の格差」是正など当然の課題があります。

 市長が定数削減協議の号令をかけ、議会側がまとまらないなら、自身が半減を含め削減条例案を出すぞと促した。これは?市民の議会?を?市長の議会?に変質させる攻撃です。

軽視できない

 ――市長の定数半減案は過去2回、市議会で否決されています。

 今回は河村党の「減税日本」が議会最大会派になっています。「減税日本」を使い、議会不信を利用し、定数大幅削減に持って行こうとする市長の意図は軽視できません。

大阪では

 ――昨年6月、大阪府議会で橋下知事(当時)が代表の「維新の会」が定数109を88に減らす議案を単独強行採決しました。

 大阪の市民団体は、昨年4月の府議選の結果をもとに「維新が4割の得票率で6割の議席を獲得する」という試算結果を発表しました。日本共産党は現有4が2に、半減です。

共産党ゼロ

 ――市長の言う定数半減の場合は。

 定数半減のねらいは、1人区・2人区を増やし、県議選のように比較第1党・第2党が議会の圧倒的多数を獲得できるようにすることです。日本共産党の議席はゼロになります。

 私は2010年の2月議会で、半減したら、議席に結びつかない死票や無投票当選が増え、「一票の格差」も広がること、「民意の反映」どころか、民意を切り捨て、議会制民主主義を破壊するファッショ的暴挙であることを批判しました。河村市長はまともに反論できませんでした。

議会の廃止

 ――河村市長が定数削減にこだわるのは。

 経費削減ではありません。経費削減なら、まず慣例的な議員海外視察を止めればいい。日本の姿を変えるためです。首相と自治体首長の権限強化、議会の形骸化、議会の解消をねらっています。

 道州制のもとで市町村議会無用は河村市長の持論です。国会、道州議会、学区毎の「地域ボランティア議会」という違憲の姿をめざしています。

舞台裏協議

 ――市長は今度も半減をねらう。

 半減の構えで「減税日本」を動かし、議会に定数削減をけしかけるでしょう。減税日本、自民、公明、民主の舞台裏協議もありえます。わが党は民意切り捨ての定数削減にはくみしません。

一点共同

 ――市民の運動が期待されます。

 10年に河村市長が定数半減条例案を市議会に提出したとき、憲法学者や市民運動家ら著名人が「半減反対」の一点で共同し、「名古屋の民主政治を守れ」の共同声明を発表し、賛同が広がりました。

 今回の市議会は当時とちがい、「減税日本」が第1党になり、地方自治・民主主義破壊の突撃隊になっています。議会に条例案が出てからでは遅い。「道理のない定数削減は止めよ」の運動を広げる必要があります。

真の改革

 ――日本共産党はどういう議会改革を。

 日本共産党は市議会の自主改革を推進してきました。議員費用弁償の廃止、政務調査費の領収書全面公開、議会基本条例の制定、委員会審議のインターネット中継、議員報酬半減が実現しました。

 さらに、慣例的な議員海外視察の中止や議会報告会の開催など議会基本条例を生かす改革をすすめます。

 国政でも市政でも日本共産党の前進が決定的に重要です。