愛知民報

【12.01.29】長良川河口堰 開門調査は当然 環境破壊と浪費から脱却を

林信敏 日本共産党愛知県委員会自治体部長にきく

 長良川河口ぜきの開門調査の是非が問題になっています。これをどう考えるのか、林信敏・日本共産党愛知県委員会自治体部長に聞きました。
 

回復への検証

 ――開門調査をどう評価しますか。

 賛成です。自然の流れを回復させる開門調査によって、自然破壊と浪費の実態をオープンに検証し、教訓をくみとり、生態系回復の可能性と方策、利水・治水の代替策や塩害防止措置を検討できます。

 日本共産党は長良川河口ぜきの建設に反対してきました。昨年9月の党愛知県委員会総会は、県民の皆さんに開門調査実現の運動を呼びかけました。

運動の反映

 ――昨年の愛知県知事選・名古屋市長選で大村・河村両候補が「開門調査」を公約し、当選後に発足した長良川河口堰検証専門委員会が「5年間以上の開門調査を」という報告書をまとめました。

 自然保護や公共事業改革を求める国民の世論と運動の反映です。

 民主党政権が「脱ダム」の公約を裏切り、ダム建設推進の動きを強めています。長良川河口ぜきの開門調査を実現させることは大事になっています。

一利なし

 ――愛知県民にとって長良川河口ぜきは。

 “一利なし”と言って良い。

 河口ぜきの水は愛知、岐阜、三重、名古屋の3県1市が水利権を持っていますが、開発水量の16%しか使われていません。産業と生活が節水型に変化し“水余り”です。

 名古屋市の水道事業や愛知県の工業用水事業は一滴も使っていないのに、巨額の建設負担金や維持管理費を払い続けています。

 ツケは、高い水道料金や福祉予算削減になって、結局、県民に回されています。

 長良川河口ぜきの水は知多地域の水道に使われていますが、浄水場のコックを切り替え元の木曽川の水を使うことができます。要は政策判断です。

導水路注意

 ――国交省は開門調査に反対している。

 道理がありません。開門調査をし、堂々と議論すればよい。

 長良川河口ぜきの後に建設した徳山ダムの水は全く不要です。

 河口ぜきを温存し、その水利用を口実に、約900億円の徳山ダム導水路建設につなぐねらいを感じます。
 
 民主党政権下でも政財官のダム利権共同体が続いています。開門調査は、環境破壊と浪費の大型開発路線からの脱却につなげることが求められています。

【長良川河口ぜき】
 国が木曽川水系長良川の河口から5・4キロメートル地点に建設した多目的ダム。建設事業費1840億円。1988年せき本体工事着工、95年完成。調節ゲートで川を遮断し、上流からくる真水と伊勢湾からくる塩水が混じる河口部独特の汽水域生態系を破壊。愛知県の主な用途は工業用水・水道用水の確保だが、開発水量の一部しか使われておらず、巨額の負担金が水道事業を圧迫。高い水道料金の要因になっている。