愛知民報

【10.11.07】河村たかし名古屋市長の再議連発 自治能力を欠く

 名古屋市の河村たかし市長が市議会の議決に再議を連発しています。再議とは、議会に対する首長の拒否権。首長は、議会が決めた条例に不服の場合、議会に再審議を求めることができます。

 今回の再議の理由は議会の「越権」。民主・自民・公明3党が民主党議員提出の「公開事業審査の実施に関する条例」を可決し、市長の「中期戦略ビジョン」の一部を変更したことは、市長の権限を侵すというのが市長の言い分。

 公開事業審査条例は「事業仕分け」の仕組みを定めるもの。民主党議員は「事業審査を議会と行政が一体となって実施することにより行財政改革がより一層進み、ひいては減税のための財源確保につながるもの」と説明しています。金持ち減税のための福祉切り捨てに議会が加担するおそれがあります。

 「中期戦略ビジョン」の変更点も「冷暖房のいらないまち」を「冷暖房のみにたよらないまち」に言葉を変えた程度。企業の温室効果ガス排出をきびしく規制するものではありません。

 どちらも越権どころか、市長応援です。

 それでも河村市長は9月議会で再議を求め、反発した3党は前の議会と同じ決定をおこないました。これに不服の市長は県知事に審査を申し立てました。

 この再議制度は、旧憲法にあった議会を統制し首長を優越させる仕組みの名残り。全国の議会関係者から改正を求める声がでている制度です。河村市長の再議連発は、自治能力の欠如と旧憲法体質を示しているようです。

 日本共産党市議団は公開事業審査条例と中期戦略ビジョンはいずれも市民の利益に反する問題があると、反対の態度をとりました。