愛知民報

【10.11.07】田原市・大山 陸上自衛隊ヘリコプター訓練場 渡り鳥に障害

 2005年に渥美半島の越戸(おっと)大山(328メートル・田原市)に設置された陸上自衛隊のヘリコプター訓練場は地元住民や自然環境保護団体、平和団体から抗議が強く、自衛隊は今も使用できずにいます。地元の自然保護活動家の大羽康利さんに聞きました。
ヘリ訓練場廃止を訴える人たち=田原市・越戸大山山頂

 渥美半島は全体が渡り鳥の飛来ルートです。先端の伊良湖岬では、秋にはタカの仲間のサシバ、ハチクマ、ノスリ、ツミが観察できます。

 大山は渥美半島で最も高い山です。山頂から太平洋、三河湾を一望できます。山頂にあった陸上自衛隊の通信施設が不要になり、防衛省はその跡地に陸上自衛隊のヘリコプター訓練施設をつくりました。山あり谷ありの地形で「離発着訓練には魅力的」と防衛省職員が言っていました。

 田原市の鈴木克幸市長は今年の3月議会で、県内外からの登山者が増えているため、大山山頂に展望台を設置する計画を明らかにしました。場所はヘリコプター訓練場から直線距離で100メートルのところ。市長は訓練場に近いことについては何も言いません。

 訓練場整備当初、芝生が張られていましたが、県民の反対で使用できず、現在はセイタカアワダチソウが茂っています。防衛省は「自然環境に配慮」した飛行訓練計画を作成するため3150万円の予算を計上しています。

 同省は「渡り」と「繁殖」に関する環境利用現況調査を行うことが分かりました。9月の田原市議会で、市消防長は「防衛省が行なっている環境調査は1年半おこなわれ、再来年3月に結果がまとめられる」と発言しています。

 大山には愛知県の防災無線施設があります。愛知県は防衛省に大山山頂付近をヘリコプターが周回飛行するときには事前連絡をするよう求めています。

 大山ヘリコプター訓練場は渡り島の貴重なルートに悪影響を与え、防災上も問題です。一日も早く廃止されることを願っています。