愛知民報

【10.02.28】あおなみ線 税金投入で経営支援 ゆきづまる開発型第3セクター 

公共交通維持へ どうする大企業負担

 名古屋市や愛知県、民間企業などが出資する第3セクター・名古屋臨海高速鉄道株式会社が運営する「あおなみ線」(名古屋駅~金城ふ頭駅15・2キロメートル)が経営破綻に陥り、名古屋市は400億円を超える税金投入で支援しようとしています。愛知県も支援を予定しています。

 名古屋市の河村市長が2月定例市議会に提出した2010年度予算案には、名古屋臨海高速鉄道の借入金の肩代わりなど144億円、同社への名古屋市の貸付金266億円の出資金への切り替え、合計410億円の事実上の税金投入が盛り込まれています。

 04年10月に開業したあおなみ線の総事業費は約950億円。97年、当時の運輸省に鉄道事業の免許を申請した際の経営見通しでは1日当たりの利用者は約8万3千人。開業13年目で単年度黒字、開業27年目には累積損益で黒字化するとしていました。

 ところが、開業前年の03年に利用者数を6万7千人に下方修正。単年度黒字の時期も開業の46年後に変更しました。

 開業後の08年度の1日平均利用者は2万3千人にとどまり、下方修正数の34%。朝夕の通勤時を除く時間帯の車内は空席が目立つ状態です。

 開業以来6年間、毎年約20億円の赤字。借入金残高は448億円に膨らみ、その金利負担は毎年6億円にのぼっています。過大予測は明らかですが、行政側には反省がありません。

 民間企業の資金と経営方式を活用する第3セクター方式は「もうかる」として導入されました。あおなみ線にはJR、トヨタ、中部電力、東邦ガスなど大企業15社が出資しています。

 2002年の県議会で過大予測問題を追及した日本共産党の林信敏元県議は、「先行き不透明な大型開発やイベント頼みで需要を過大に見込んだもので、開業前から経営のゆきづまりは見えていました。リニモも同じです。出資大企業も応分の負担をし、公共交通機関を守る社会的責任を果たすべきです。沿線住民や利用者の声を聞き、利用拡大策も必要です」と語っています。