愛知民報

【10.02.28】特別養護老人ホーム 増設急務 家族介護の苦しみ続く 

 介護の充実を求める愛知連絡会(愛知介護の会)は20日、名古屋市内で第27回社会保障・社会福祉講座を開きました。特別養護老人ホーム平田豊生苑(名古屋市西区)の児玉克己施設長が特養ホームの現状と課題について次の講演をおこないました。

愛知介護の会講座で施設長講演

 名古屋市の要介護認定者数は今年1月末で5万3607人です。特養ホームの入所待機者数は5700人前後と推計されます。

 名古屋市内の特養ホームは66カ所5726床ありますが満床です。1カ所の特養ホームで、死亡や長期入院による退所が年間平均15人前後あります。

 66カ所で年間990人が新たに入所可能ですが、待機者数から単純計算すると申し込んでから入所までに5年もかかる計算になります。

 在宅の場合は老老介護なども増加し「共倒れになる。5年も待てない」の声が上がっています。

 特養ホームの建設はどうか。国の作成した介護保険整備計画では特養ホーム12万床の確保といっていますが、これが100%(全国42万人)できても全国の待機者数の3割です。愛知県や名古屋市の整備計画の達成率は6割台。全国平均73%を下回っている状態です。

 なぜ整備がすすまないか。財政問題です。特養ホームの建設には1床当たり約1000万円かかります。私の法人では最近、30床の小規模特養ホームを作りましたが約3億円かかりました。小規模だと採算的にきびしい。民間法人では経営を考慮すると新設に躊躇があります。国や自治体の予算増額が急務です。

 特養ホームの待機者のうち家族が世話をしている在宅者が47%、在宅でない人の32%は介護老人保健施設に入所しています。ほかに医療機関(介護療養型医療施設を除く)が24%、グループホーム6%、介護療養型医療施設5%となっています。

 在宅を含め今の待機者をどうするのか。保険点数の見直しによるホームヘルパー利用の回数増など在宅介護を支える施策が必要です。