愛知民報

【09.07.12】活用したい就学援助 学用品、給食、医療のお金を補助 なくそうこどもの貧困

 不況の影響で生活困窮が広がるなか、小中学生のいる家庭に国と市町村が学用品費や給食費、修学旅行費、医療費などを補助する就学援助制度が注目されています

 就学援助制度は、「義務教育は無償」とした憲法第26条にもとづく制度。生活が苦しい時でも子どもに教育を受けさせるために、この制度を使うのは国民の権利です。
 

 トヨタ自動車の城下町で県内の市町村のなかでもっとも住民の所得が高いといわれた豊田市で、就学援助を受ける家庭が急増しています。

 今年5月時点で就学援助をうける小中学生は、昨年同時期より223人増の2412人となりました。トヨタ関連下請企業の労働者の多い同市北西部の小学校では児童の半数近くが就学援助を受けています。

 援助の内容は、市町村や小中学生によって違いがありますが、学用品費、クラブ活動費、体育実技用具費、通学費、修学旅行費の一定額、給食費の実費、虫歯など6つの学校病の治療費などが支給されます。メガネ・コンタクトレンズの購入代を出す自治体もあります。

 支給方法は、銀行振り込みのほか、現金や現物を学校を通じて渡します。

 就学援助には所得制限があります。生活保護世帯ならどこの自治体でも就学援助を受けられます。所得が生活保護基準を超す「準要保護世帯」の場合は自治体によって幅がちがいます。

 05年度から小泉・自公政権の「三位一体改革」で、国が自治体に出す就学援助の補助金が大幅に減らされました。そこで、自治体は所得基準を引き下げたり、対象者を狭めたり、支給内容を引き下げたりしました。

 豊田市や名古屋市などで就学援助の受給人数がガタッと減っているのは、制度改悪で“狭き門”になったからです。

 改悪基準のもとでも昨秋来の経済危機のなかで今年度の受給者数は増えています。
 生活と健康を守る会や民主商工会、日本共産党は、就学援助の所得制限の緩和、対象者の拡大、補助内容の拡充をもとめる運動をすすめています。

 名古屋市南区では毎年4月の「広報なごや・南区版」で就学援助制度の内容が紹介されるようになりました。

 津島市では申請用紙を小中学校で入学時に全児童に配布しました。豊橋市は新学期が始まるときに地元FMラジオ放送で制度案内をしました。同市では国庫補助削減後も生活保護の約1・3倍の基準を維持しています。