愛知民報

【17.07.23】国保の財政運営来年度から県に移行 一般会計 繰り入れで保険料引き下げを 国保改善運動交流集会 愛知社保協

 安倍自公政権は2015年の医療保険法改悪で、国民健康保険(国保)の財政運営の都道府県化を強行しました。2018年度から実施予定です。市町村は県が決めた「納付金」を100%納めなければならなくなり、収納率を上げるための徴収強化や保険料(税)引き上げが心配されています。 愛知県社会保障推進協議会(愛知社保協)は15日、名古屋市内で国保改善運動交流集会をひらき、保険料引き下げの運動強化を呼びかけました。

国保改善運動交流集会で、西村秀一愛知県国民健康保険運営協議会委員(愛知社保協副議長)の話を聞く人たち=15日、名古屋市中区

 

「禁止」考えず

 安倍政権は6月に閣議決定された「経済財政運営の基本方針2017(骨太方針2017)で、保険料抑制に役立っている市町村の国保会計への一般会計からの繰入(法定外繰入)について「計画的な削減・解消を促す」方針を示しました。
 しかし、愛知社保協は今年1月おこなった愛知県との懇談で県側は、繰入について「国は禁止することは考えていない」という認識を示しました。

議会で論戦

 日本共産党の、わしの恵子議員は、県議会6月定例会の健康福祉委員会で、県内の54市町村のうち48市町村で計219億円の繰入が実施されていることを指摘し、県として保険料(税)抑制に力を尽くすよう要求したことを報告しました。
 山口清明名古屋市議は、6月定例会本会議で日本共産党議員の質問に対し、市側が「これまでの減免制度を含め保険料水準から大きな変化がないよう努めたい」と答弁したことを紹介しました。

市町村に要請を

 日下紀生愛知県保険医協会事務局次長は、10月に予定されている愛知自治体キャラバンに向け、①法定外繰入を増やすことで国保料(税)を引き下げること②市町村独自の保険料減免制度の充実を図ること③国保への県単独補助を復活すること―の方針を示し、地域ごとの実情把握、市町村に向けた要請活動の強化を呼びかけました。

 

加入世帯低所得化

 

 市町村国保の1965年度の加入世帯主の職業は半数以上が農林水産業、自営業でした。その後、労働者の非正規化、退職者の加入が進むなか、2015年度では農林水産業、自営業は減り、被用者が3割、無職が4割を占めています。国保の被保険者の低所得化が進んでいます。

 

命綱の役割果たしていない 愛知県民主医療機関連合会(愛知民医連)事務局 島崎宏行さん

 

 全日本民医連では、加盟病院・診療所の協力を得て、正規の保険証を持参せずに有効期間が短い短期保険証、窓口で10割負担が生じる資格証明書で受診した患者さんがどれくらいいるのか調べています。6月に報告があった9院所、約1万9000人の患者さんのうち、117人が短期保険証、9人が資格証明書でした。
 サラリーマンが加入する協会けんぽから国保に切り替わった32歳の患者さんは、たった6日間しか有効期間が残っていない短期保険証を持ってきました。これでは慢性疾患の治療はできません。
 2月に受診した高血圧・糖尿病の患者さんは、2カ月分の薬を受け取って次に来院したのは4カ月後の6月でした。悪化していないか心配です。
 保険証のない患者さんでは、役場の保険課に問い合わせたところ、滞納で窓口に保険証が留め置かれている事例がありました。
 歯科では「神経抜いて」とだけ言って、抜いたら次は来院しない患者さんがいました。
 命綱であるべき国保が十分役割を果たしていません。引き続き調査を続けます。