愛知民報

【18.03.04】無期転換5年ルール4月開始 雇い止め許さない

 

クーリング

 改定労働契約法により、有期雇用労働者は同じ事業所で通算5年以上働いた場合に、本人が会社に申し出れば無期雇用契約に転換されます。この「無期転換5年ルール」は4月から運用開始。有期雇用労働者とは、契約期間に定めがある労働者が対象。契約社員やパート、アルバイトなどの名称は問いません。
 ところが同法には、財界の要請により「雇用契約のないクーリング期間が6カ月以上ある場合、働いた期間をを通算しない」という「抜け穴」があります。
 日本共産党の小池晃書記局長・参院議員は昨年11月30日の予算委員会でトヨタ自動車が、クーリング期間を6カ月に変更して無期雇用転換を回避する脱法行為をやっていると指摘。この「抜け穴」をただす法改正を要求しました。

 

実態調査要求

 小池氏は、あるトヨタの期間雇用労働者は1年契約を1回、2年11カ月契約を3回おこない通算10年以上働いてきた。ところが今回、契約期間更新のためには、「これまで1カ月だったクーリング期間を6カ月にしてほしい」といわれた事例を紹介。「こういうやり方で労働者を非正規のまま使い続けるのは改定労働契約法の趣旨に反するのではないか」と質しました。
 加藤勝信厚生労働大臣は「無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的の雇い止めは望ましくない。クーリング期間を設定した上でさらにその先まで雇う場合は必要な指導をしたい」と答弁しました。
 小池氏は自動車大手の「無期転換逃れ」の実態調査を要求。これを受けて厚労省は自動車大手10社を調査。うち7社で、再契約までに6カ月以上のクーリングをおこない無期転換を回避する脱法行為がおこなわれていることが判明しました。

 

労働相談を

 トヨタ系列のアイシン精機は、通算5年の無期雇用転換を回避すると見られる4年11カ月を上限とする期間従業員の募集広告を本社のある刈谷市内の新聞に折り込みました。
 愛知県労働組合総連合(愛労連)労働相談センターには、「無期転換5年ルール」の実施を前に雇い止めされた労働者から相談が寄せられています。
 相談は、労働相談ホットライン☎0120(378)060

 

愛知県労働組合総連合労働相談センターへの事例

 ◆会社から「無期転換の申し込みをしない」との念書の提出を求められている。(50代女性・建設会社事務パート・勤続7年)
 ◆1年契約を自動的に繰り返してきたが、契約を更新しない旨の雇用契約を無理やり締結された。無期転換を前にしての雇い止め。(50代男性・私立中学・高校非常勤講師・勤続10年)
 ◆労働契約法が変わり、5年たつと半年間の休職期間を置くことになってしまった。不利な条件を強いられることになった。(40代女性・旅行業事務パート・勤続2年半)