愛知民報

【17.04.16】県議会リポート 地域を切り捨てる「あいち公共交通ビジョン」 リニア優先逆立ち計画 しもおく議員「生活交通優先に」

 愛知県は3月24日、「あいち公共交通ビジョン」を策定しました。その中心は、愛知県が首都圏と一体化した人口5000万人の「リニア大交流圏」の西の拠点となり、国内外から人・モノ・カネを呼び込む「中京大都市圏」をつくること。公共交通といっても、リニア新幹線や中部国際空港への接続時間の短縮が最優先で、生活交通は後回しの?逆立ち?した計画です。日本共産党県議団は「クルマに頼らず便利に暮らせる公共交通を」と主張しています。

名鉄西尾・蒲郡線 県が補助金廃止 「支援を」

 
 日本共産党の、しもおく奈歩議員は3月14日の県議会振興環境委員会で、名鉄西尾・蒲郡線(西尾―蒲郡27・3??)の運行支援の問題を取り上げました。
 西尾、蒲郡両市は、同線を運行する名鉄に年間2億5000万円の支援をおこなっています。県は2市の支援額の3分の1を両市に補助していましたが、新年度から廃止しました。
 しもおく議員は、2015年の輸送人員が前年と比べ通勤定期が33%、通学定期が10%増えていることを示し、「地域の足として必要とされていることを示している」と指摘しました。
 同議員は、沿線の小学校児童が「自分が高校生になったときの交通手段を残したい」と存続運動をおこなっていることや2市が独自に支援継続を決めたことを話し、県の財政支援を求めました。

バス拡充を

 しもおく議員は、県が策定した公共交通ビジョンについて「第1にリニア、第2に中部空港。県民の暮らしに密着した生活交通が後景に追いやられています。交通弱者にやさしくすることが最優先。逆立ちではないか」と批判しました。
 まちづくりの問題では、「名古屋一極集中がますます加速し、東三河など地方の衰退に拍車がかかる。県はまちを元気にする取り組みを」と求め、「地域を巡回するコミュニティバスの拡充こそ、地方都市で最も重要な施策」と強調しました。
 同議員は、財政難を理由にコミュニティバスの運賃を100円から200円に値上げした日進市で値上げ中止を求める署名が7711人分集まったことを紹介しました。
 さらに、「病院までのタクシー代が往復8740円で負担が大きい」(西尾市)、「矢作地域にバスを求める署名が3800人分」(岡崎市)、「バス停に広告を載せるなど努力しているが財政難」(大口町)、「市がおこなったアンケートへの70歳以上の回答のトップが公共交通の充実」(豊橋市)という事例を紹介し、「県は生活交通の充実へ独自の補助を出して支援するべきです」と要求しました。

日進市 くるりんばす 運賃2倍以上に

 
 日進市が運行するコミュニティバス「くるりんばす」。4月1日から1路線(市役所―日進駅)を除き、1乗車100円から200円に値上げされた=6日、日進市役所前

「あいち公共交通ビジョン」

?産業首都あいち―リニア新幹線、空港アクセス
?交流拠点あいち―観光地へのアクセス・利便性向上。広域交通ネットワークの形成
?集約型まちづくり―都市と郊外の役割分担
?安心して住めるあいち―(イ)災害対策(ロ)新しい技術による交通安全の確保(ハ)生活交通の確保・維持(ニ)バリアフリー化など人に優しい交通体系
?環境首都あいち―燃料電池バスなど次世代自動車の導入、自家用車からの転換