愛知民報

【16.12.04】ゼロメートル地帯の津波浸水対策 高台づくりはじまる

 11月22日、福島県沖を震源とするマグニチュード7・4の地震が起こり、東北の太平洋岸など広範囲に津波が到達しました。テレビニュースは「高台へ避難して下さい」と呼びかけました。愛知県は2014年に南海トラフ巨大地震の被害想定を発表。死者2万9000人、そのうち津波・浸水による死者数は1万3000人です。県内で津波・浸水に対する避難施設として高台づくりがはじまっています。

蟹江高校跡地を整備

 
海部郡蟹江町にある希望の丘広場は、防災避難施設を兼ねた公園です。県立蟹江高校の跡地に造成され、昨年4月から供用開始しました。
 水害発生時には人工の高台・希望の丘に500人、旧愛知県立蟹江高校校舎を再利用した管理棟に750人が避難できます。
 蟹江町は、全域が海面より低い海抜ゼロメートル地帯です。希望の丘の高さは地表から4・5?、海抜3・5?になります。大洪水が発生した場合でも浸水面より2・5?高くなる想定です。
 盛り土には、町を流れる日光川の堤防造成で発生したしゅんせつ土が使われました。
 希望の丘広場は平常、公園として町民の憩いの場になっています。園内には芝生広場、バーベキュー場、ナイター照明のあるフットサルコートが整備されています。校舎を再利用した管理棟には、会議室のほかコインシャワーや更衣室があります。
 公園にいた少年らは「よく遊びに来ます。避難施設だと小学校で教えてもらっています」と話しました。施設管理者は「普段から利用していることがいざという時の避難につながる」と話します。
 管理棟の外壁には、カギが収納された防災ボックスがあります。震度5弱を感知すると自動的に開き、最初に避難してきた人が開錠できます。管理棟に新設された外階段入口には、災害発生時に足で蹴破って入るよう表示されています。

名古屋市港区に?命山? 日本共産党議員が議会で提案

 
 名古屋市は、港区南陽町の船頭場公園に津波避難施設となる高台広場を造成する工事に着手しました。同区で想定されている最大津波高は3・4?です。
 日本共産党の山口清明議員は静岡県袋井市が整備する津波一時避難施設「平成の命山」を視察。2014年3月の市議会本会議で「海抜ゼロメートル地帯の港区に命山を」と提案していました。
 造成する高台の高さは海抜7?、広さは3400平方?。3400人が避難できるようになります。22年の完成予定。
 愛知県は、愛西市にある旧県立老人休養施設永和荘の跡地に、ゼロメートル地帯の広域的な防災活動拠点を整備します。
 計画策定段階ですが、県は盛り土をし、敷地全体を高くする予定。同拠点にはヘリポートを設置し、避難者を安全な場所に搬送します。