愛知民報

【16.06.19】名古屋市6月議会 天守閣を壊す予算案 河村市長「東京五輪まで」に固執

 名古屋市の河村たかし市長は14日開会した6月定例市議会に、名古屋城天守閣の木造化に向けた基本設計費など約10億円を盛り込んだ名古屋城天守閣特別会計予算案を提出しました。名古屋城の木造再建に必要な資金は一般会計から切り離して運営されます。同予算案に計上された「基本設計等」8億4800万円には、今建っている鉄筋コンクリート製の天守閣を解体するための設計費が含まれています。
 河村たかし市長がめざす、東京五輪がおこなわれる2020年7月までの完成には約505億円かかる見通し。河村市長は、入場料収入で40年かけて借金を返済する方針を示しています。市が示した収支計画では現在500円の入場料を市民450円、市民以外1000円としたうえで、完成後の入場者は最多で最大年446万人、その後47年間年360万人が入場すると見込んだ数字。昨年の入場者数は174万人でした。
 4月に優秀提案に選定された竹中工務店が示した工程は、11月に現天守閣を閉鎖し、エレベーターを撤去、来年6月中旬から再来年1月にかけて現天守閣を解体する計画。河村市長は「誰がどう考えたって東京五輪に間に合えば世界中の人が来る」(2日「中日」)と主張しています。
 市は1日、名古屋城天守閣の整備方法を市民2万人に聞いたアンケート結果を公表しました。回答数は7224人で半数に及びませんでした。
 「2020年7月にとらわれず木造復元を行う」は40・6%、「現天守閣の耐震工事を行う」は26・3%。河村市長が主張する「2020年までに優秀提案よる木造復元を行う」と答えたのは21・5%にとどまりました。
 日本共産党名古屋市議団が9日行った市政懇談会で、同党の江上博之議員は「2万人アンケートの結果で、市長提案の?2020年7月までの木造化?は最下位で明確に否定された」と強調しました。
 江上議員は木造化の財源について、「河村市長が主張する『税金投入がない、入場料収入だけで賄う』というのは偽り。市民生活に関わる事業や福祉の削減が予想される。計画通りでないとき、河村市長は金銭的責任が問われる」と指摘します。
 懇談会の参加者からは「コンクリート製の天守閣が解体されてしまってからでは遅い。28日の市議会経済水道委員会の意思決定までに議員全員に予算案に反対するよう働きかけよう」と声が上がりました。