愛知民報

【16.05.01】土地取り上げに不安 “国家プロジェクト”で住民犠牲

立ち退き広範囲

 
 安倍首相は1月22日の施政方針演説で、JR東海が計画しているリニア中央新幹線について「夢の超特急。最先端技術の結晶」と持ち上げました。安倍自公政権は同線を?国家プロジェクト?として推進。愛知県、名古屋市も追随し関連開発を進めています。沿線住民は、「開発工事で不利益をこうむるのではないか」と不安の声を上げています。(本紙・村瀬和弘)

直下がホームに

工事中のJRゲートタワー前の東側にはビルや店舗が密集している。直下がリニアのホームになると立ち退きの対象になる。
 

 日本共産党愛知県委員会は4月17日、名古屋市中村区で、リニア中央新幹線学習交流会をおこないました。同交流会ではリニア新幹線の工事にともない、広範囲に住宅や店舗などの立ち退きが迫られている駅周辺の現状が明らかにされました。
 駅周辺で立ち退きが迫られる主な理由は、地下に造られるリニア名古屋駅が開削(かいさく)工法という地上から掘り下げ、線路や駅施設を完成させてから埋め戻す工事がおこなわれることによります。
 JRが2014年に沿線でおこなった事業説明会の資料によれば、リニア駅の長さは東西に約1??。東海道新幹線に直交する形で地下に造られます。
 「中村・リニアを考える会」の鳥居勝さんは、JR東海から強引な立ち退きを迫られている地権者から寄せられた切実な声を紹介しました。
 「JRは、売る、売らないも決めていない地権者に『家屋調査をさせてくれ』と建物の中に勝手に上がりこんでくる」「建物を自力で撤去し、JRが提示する代替地が気に入らなければ自分で探せ」「土地収用をちらつかせる」―鳥居さんは「JRが個別交渉で既成事実を積み重ね、一気に土地を買収してしまおうとしているのではないか」と指摘しました。
 名古屋駅に関わる地権者は120人、賃借を含めれば権利関係はきわめて複雑です。
 JRは土地買収の実務を名古屋市の外郭団体・名古屋まちづくり公社に委託しています。官民一体の土地取り上げです。
 樽井直樹弁護士は「居住や営業が行われている土地や建物を乱暴に買収するのはおかしい」と強調します。
 強制収用をちらつかせるJRの態度について「地権者は『勝手な調査はするな』と断ればよい」と話しました。

法律知識共有を 樽井直樹弁護士

 樽井弁護士は「リニア開発工事により、不利益を受ける可能性のある住民の権利を守るうえで、名古屋駅周辺で今何が起きているかという情報を共有する必要がある」と述べるとともに、土地を守るうえで必要な所有権、地上権、賃借権などの法律知識を学ぶことを呼びかけました。
 樽井氏は「権利者が正しい知識を持つ前に、既成事実を積み上げて判を押させる手法がまかり通ってきた。慎重な判断が必要です」と強調しました。

日本共産党が学習交流会

 
 学習交流会では日本共産党の本村伸子衆院議員が国会論戦を紹介。「無謀な計画やめよ」と力説しました。岐阜県の「多治見を放射能から守る市民の会」の井上敏夫さんは、リニアのルート上に東濃ウラン鉱床による放射線量が高い場所があるという調査結果を報告。「春日井リニア新幹線を問う会」の川本正彦さんは工事用ダンプによる環境破壊の恐れを警告しました。