愛知民報

【16.03.06】大村県政2016年度予算案 愛知版アベノミクス 大企業応援とゼネコン型大型開発

 愛知県の大村秀章知事は2月22日に開会された県議会2月定例会に2016年度予算案を提出しました。一般会計は総額約2兆5249億円(前年度比1.7%増)。「リニア・ジェット・FCV」を看板に、大企業応援・大型公共事業推進が特徴。大村県政の新年度予算案は、安倍政権の経済政策=アベノミクスの愛知県版です。(本紙・村瀬和弘)

リニア

 大村県政は、JR東海が2027年開業をめざすリニア中央新幹線建設を支援するため、新年度予算案に名古屋駅のスーパーターミナル化推進費3900万円、豊田市から名古屋駅まで所要40分をめざす名鉄三河線速達化などの調査費約713万円を計上しています。
 リニア新幹線計画には環境破壊や赤字による国民負担を危ぐする声が上がっています。
 需要無視の中部国際空港2本目滑走路建設推進に約2962万円、道路関係に約884億円をつけ、名古屋環状2号線や西知多道路など自動車道路整備を推進します。

ジェット

 大村県政は、兵器生産と一体の航空宇宙産業の強化を重点課題にしています。
 愛知県営名古屋空港に隣接する三菱重工小牧南工場(豊山町)では航空自衛隊の新型ステルス戦闘機F35の生産が始まり、さらに同工場をアジア太平洋地域の米軍などのF35の整備拠点にする計画があります。
 県は新年度予算案に県営名古屋空港に事実上三菱用となる駐機場の整備費約15億円を計上しました。
 ゼロ戦の展示が取りざたされ、戦争美化の批判が出ている県営名古屋空港見学施設「あいち航空ミュージアム(仮称)」建設に約8億円をつけています。道路拡張費3億円を含みます。

FCV

 トヨタ自動車を頂点とする自動車産業応援も大村愛知県政の特徴。
 県は、水素をエネルギー源とする燃料電池自動車(FCV)の普及のため、水素ステーションの整備や燃料電池フォークリフトを導入する企業への補助事業費約9億円を盛り込みました。
 企業の立地や設備投資を支援する補助金の大盤振る舞いも。航空宇宙、次世代自動車などの企業向け補助の予算は約98億円。大企業支援の「21世紀高度先端産業立地補助金」の限度額は全国トップレベルの1件100億円です。投資額2千数百億円規模に相当。まだ交付事例はありません。

赤字必至 空港島内に国際展示場

 
 県は新年度予算案に、中部国際空港の空港島内に国内最大級の国際展示場を建設する関連事業費3億6千万円を計上しました。
 展示面積は6万平方?で総額350億円の予定。完成後、使用料収入だけでは運営できず巨額の税金投入は必至です。
 名古屋市港区にある名古屋市国際展示場(3万4千平方?)の利用率は43・8%(2013年度)にとどまっています。

県民要求の反映も 知事選、県議選の努力実る

 福祉・教育予算では県民要求を一定反映した予算が盛り込まれました。
 特別養護老人ホーム(新規8カ所、760人)など介護施設が整備・増床されます。予算は73億円で前年度の倍以上です。
 県営住宅の維持修理費は約45億円で2年連続で増額されました。
 障がい児の特別支援学校の増設、スクールバスの増車がおこなわれます。
 私学助成が増額され、高等学校、幼稚園の授業料負担が軽減されます。
 県が発注する公共サービスの品質の確保、作業に従事する労働者の労働環境向上を目的とする「公契約条例」が提案されています。
 いずれも、昨年の県知事選と県議選で革新県政の会と日本共産党が掲げた政策です。
 昨年の選挙で議席空白を克服した日本共産党愛知県議団は、予算議会で福祉向上を掲げ、論戦に挑みます。