愛知民報

【16.01.17】日本共産党参院愛知選挙区予定候補 すやま初美さん 設楽ダム予定地を視察

「ムダな事業止めるためにも国会へ」

 
 安倍自公政権は、設楽町内の豊川(とよがわ)に設楽ダム建設を強行しようとしています。同ダムは国(国土交通省)直轄の多目的ダムで、事業費2070億円、関連事業を含めると3000億円を越す巨大事業です。新年度の政府予算案にダム本体の関連事業費52億円が初めて盛り込まれました。日本共産党の、すやま初美参院愛知選挙区予定候補は9日、設楽ダム予定地を視察しました。

2016年度予算案 本体関連事業に52億円

 
 

自然破壊

 日本共産党の田中邦利設楽町議の案内でまず視察したのは、ダム本体の建設予定地。豊川の清流がエメラルドグリーンに輝いています。田中さんは「この谷を高さ129?のコンクリートダムでふさぐ計画」と説明しました。豊川の建設予定地の森林にはクマタカがおり、国の天然記念物で絶滅危惧種のネコギギ(ナマズの一種)の生息地です。
 すやまさんは「こんな美しい自然を壊すなんて許せない」と声をあげました。
 ダム湖に水没する県道を付けかえるための巨大なコンクリート橋脚の建設現場を見ました。

水没120戸

 田中さんは「約120戸の住宅がダム湖に沈む。ダム湖は町中心部に隣接。地盤のもろさも心配だ」と説明。
 すやまさんは「住民の生活が壊され、過疎がさらにすすんでしまう」と心配します。

ダムよりくらし

 
 すやまさんはダムに反対する町の開業医と懇談。「町の高齢化は深刻だ。巨大なダムに2千億円もかけるより、市民病院への足確保や地域医療を充実してほしい」と語り、「愛知のムダな公共事業をとめて、本当の地域振興をしてほしい」とすやまさんに期待を寄せました。 

設楽ダムの問題点

〈自然破壊〉

 設楽ダムはネコギギが生息する豊川を根こそぎ破壊します。
 国土交通省は2008―10年度、ネコギギの移植実験を実施しましたが、07年に放流した100尾は319日後1尾も確認されませんでした。

〈地域分断〉
 設楽ダムは設楽町の中心市街地の至近。総貯水容量9800立方?、300?のダム湖が町を分断します。水没により124世帯が移転を強いられました。

〈財政負担〉
 設楽ダムの建設費は2070億円。関連事業を含めると3000億円を上回ります。愛知県の負担は約1400億円です。

〈利水改善〉
 国は設楽ダムで水道用水と農業用水を合わせて毎秒0・5立方?の水源を確保する計画を立てています。豊川水系では、2003年に豊川総合用水事業(大島ダム、調整池)の運用が始まり、供給能力が増強されました。
 東三河の水需要は横ばいから減少傾向。あらたな水源を確保する必要はありません。

〈治水効果なし〉

 国は設楽ダムで「洪水を調節する」と主張。しかし、豊川最上流の設楽ダムでは中・下流に降った大雨をせき止める効果はありません。
 洪水防止には、川底掘削や堤防強化などの河川改修が求められます。

〈無目的ダム〉
 設楽ダムの総貯水容量の6割が「流水の正常な機能の維持」という不特定容量。多目的ダムを造る理由は破たんしており、?無目的ダム?と批判されています。

〈もろい地盤〉
 専門家は、設楽ダム予定地は岩盤がもろく、ダムの水漏れの危険を指摘しています。