愛知民報

【15.08.09】戦争法で世界の戦場と愛知が直結

 国民多数の反対世論に背く戦争法案の衆議院強行採決、安倍首相を支持する自民党議員の言論弾圧発言、首相補佐官の法的安定性否定発言…。安倍自公政権の独裁政治に、県民の怒りはますます高まり、戦争法案を廃案にさせる運動が広がっています。愛知で活動する自衛隊と戦争法案の関係を見てみました。

米機へ空中給油

 航空自衛隊小牧基地に所属するC130H輸送機部隊とKC767空中給油機部隊はすでに海外活動が主任務になっています。
 C130輸送機部隊はイラク戦争時に米軍の武装兵をイラクの戦闘地域に輸送。イラク自衛隊派兵差止訴訟で、名古屋高裁は武力行使と一体であり、憲法違反との判断を示しました。 
 KC767は、アラスカで実施された日米合同訓練で米軍戦闘機への空中給油活動をおこなっています。
 小牧基地が共用する県営名古屋空港の軍事利用と軍用機事故の危険が高まっています。

戦略機動部隊

 名古屋市守山区に司令部を置く陸上自衛隊第10師団は、海外有事に即応する戦略機動部隊になっています。
 同師団は、イラク戦争では「非戦闘地域」とされるサマワで復興支援にあたりました。しかし、実態は、米軍支配を維持するための「純然たる軍事作戦」(自衛隊幹部)。陸自部隊は、県内の駐屯地で市街戦訓練をおこない、対戦車弾を持つなど重武装してイラクで活動しました。宿営地には、ロケット弾が打ち込まれました。
 武力行使を禁じる憲法9条の歯止めがなければ、殺し殺される事態になっていたと指摘されています。

日米一体で機雷戦

 海上自衛隊は2011年から毎年、伊勢湾で機雷を敷設・除去する大規模な機雷戦訓練をおこなっています。
 今年2月には、海自のもつ掃海艦艇29隻のうち22隻が伊勢湾に集結し、1000人規模の実戦並みの訓練が実施されました。訓練を視察した中谷元防衛相は海外出動を示唆しました。
 2010年の陸奥湾での機雷戦訓練には米軍が参加しています。日米一体で、ホルムズ海峡や南シナ海への出動に備えています。
 商業港である名古屋港に、米海軍と海自の艦艇が頻繁に入港するようになっています。

地域社会も戦争態勢に

 アメリカがおこす戦争に自衛隊を参戦させる戦争法案。日本共産党国会議員団の追及で、愛知で活動する自衛隊員を世界の戦地に送り、県民を戦時体制に動員する危険性が浮き彫りになっています。
 【陸上自衛隊】戦争法案は、自衛隊がイラク戦争のような非戦闘地域でなく、戦闘地域に出動し、前線の戦闘部隊に武器・弾薬を供給できるようにします。攻撃を受ければ応戦し戦闘に突入。自衛隊は「殺し殺される軍隊」になります。
 【航空自衛隊】小牧基地の空中給油・輸送機部隊は戦闘地域への武装兵や武器・弾薬の空輸、空爆に出撃する米軍機に空中給油するようになります。
 【海上自衛隊】輸入原油の海上交通路確保として、米軍と一体で海上自衛隊が機雷掃海や潜水艦攻撃、停船検査ができるようになります。海戦そのものです。
 【地域社会】愛知県が管理運営している名古屋空港では軍事利用が優先されます。国民保護法と秘密保護法のもとで、基地や軍需企業の周辺地域をはじめ社会全体のテロ警戒体制や言論・報道統制、相互監視と秘密化が強まるおそれがあります。