5月25日に開かれた愛知県議会の5月臨時議会で、12年ぶりに「自共対決」の討論がおこなわれました。大村知事が提出した航空機の大型展示施設建設の一般会計補正予算案をめぐって両党議員が論戦し、マスメディアは「12年ぶり議席 共産、反対主張を展開」(「朝日」)と注目。予算案の問題点が県民に明らかになり、早くも共産党議席回復の“効果”が現れました。
安倍政権と一体で
大村秀章知事は5月15日、県営名古屋空港(豊山町)に三菱製の小型ジェット旅客機MRJや旧日本軍の零式艦上戦闘機(ゼロ戦)などの航空機を展示する「見学者受入拠点施設」を建設する計画を発表しました。総額30億円が見込まれる大型事業です。
5月臨時議会に提出した補正予算案には、施設設計費など1億800万円が盛り込まれています。
「リニア・ジェット・FCV」支援という大村知事の知事選公約の具体化で、安倍政権の大企業中心の成長戦略や集団的自衛権行使容認の軍拡路線に連携しています。
しもおく 県議 戦争美化のおそれ
補正予算案の審査がおこなわれた振興環境委員会で論戦の口火を切ったのは、県議最年少の日本共産党・しもおく奈歩議員(豊橋市選出)。
アジア・太平洋戦争末期には特攻機として若者が命を落としたゼロ戦展示は戦争美化につながると指摘。県の認識をただしました。
4月の県議選で、安倍政権の「戦争立法」に反対し「若者を戦場に送らせない」と訴えた同議員の熱い思いのこもった質問でした。 県側は「展示内容は決めていない」と逃げの答弁。しもおく議員に「質問に答えていない」と批判される状況でした。 日本共産党議員不在で「緊張感がない」と言われてきた県議会の委員会に、緊張感ある真剣な論議がよみがえりました。
わしの 県議 大企業応援批判
本会議では、補正予算案に対する賛否の討論がおこなわれました。反対討論に立ったのは日本共産党・わしの惠子議員(名古屋市西区選出)。
県営空港に隣接する三菱重工小牧南工場には一般公開の航空機史料室があることをあげ、「1兆円の内部留保をもつ特定大企業のためになぜ県民の大切な税金を30億円も注ぐのか」と批判。
さらに、大村県政が推進する航空宇宙産業特区のもとで、F35戦闘機の製造など航空兵器の生産拠点形成がすすんでいることをとりあげ、軍需依存の産業のあり方に警鐘を鳴らしました。
県民が願う平和・利便・地域振興に役立つ県営名古屋空港の機能充実を求めました。
日本共産党議員の委員会質疑と本会議討論で、戦争美化と軍拡推進、大企業応援という予算案の問題点が県民の前に明らかになりました。
5月25日。日本共産党県議団の復活で、愛知県議会に行政の監視役としての役割がよみがえりました。
県営 空港 強まる軍事利用
名古屋市の北側にある名古屋空港(豊山町)は2005年2月、常滑市沖に建設された中部国際空港に国際線・国内線の定期航空路線が移転したことにともない、設置管理者がそれまでの国土交通省から愛知県に移り、小型機中心の県営飛行場になりました。
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県営名古屋空港を利用する主な航空機は、民間航空会社が運行する小型旅客機、報道や警察、消防の小型機、同空港の滑走路を使う航空自衛隊小牧基地の所属機や三菱重工小牧南工場で整備点検を受ける自衛隊戦闘機。
小型旅客機による定期便は福岡便など9路線。14年度の旅客数は65万5000人となっています。航空機の着陸回数の4割強を自衛隊機が占めます。
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大村県政が安倍政権と連携して推進する航空宇宙産業特区の頂点に位置するのが日本最大の航空兵器メーカー三菱重工。その中心工場が小牧南工場です。同工場では、小型ジェット旅客機MRJのほか、空自の次期主力戦闘機F35の生産やアジア・太平洋地域の米軍などのF35の整備をおこなう計画です。
県営空港の軍用飛行場化・三菱飛行場化が強まっています。