愛知民報

【14.03.02】愛知万博“動くパビリオン” リニモ経営破たん 計画時から警告されていた

 県がリニモに血税23億円をつぎ込みます。借金の肩代わりです。話がちがいます。自力返済できるはずではなかったか。日本共産党はリニモの計画段階から“経営破たん”の危険を警告していました。同党の県議会復帰が必要です。
 

 【リニモ・東部丘陵線】 磁力によって車体を浮かせ、リニアモーターで進む中量軌道輸送路線。総事業費約1000億円。2005年3月開業。名古屋市名東区藤が丘―豊田市八草町間の約9・15??で運行されている。愛知万博では観客輸送に利用された。運営するのは愛知高速交通株式会社(社長・大村秀章知事)。同社は、愛知県のほか、名古屋市、豊田市、長久手市など沿線5市、トヨタ、名鉄など民間企業の共同出資で設立された第3セクター会社。
 

過大予測

 
 「未来を乗せて浮上」と宣伝されたリニモですが、経営は逆に沈下しました。
 当初の経営計画は、1日当たり3万1000人の利用を見込み、285億円の借金も自力で返済するというものでした。
 万博開催年は1日当たり5万人以上の利用がありましたが、翌年からは激減しました。2012年度は約1万9000人になっています。
 計画当時の県議会で、過大な利用予測を追及し、経営破たんの危険を警告したのは日本共産党でした。
 同党の愛知県委員会と同県議団は2001年8月、当時の神田知事にリニモ建設計画の白紙撤回を申し入れています。「地下鉄藤が丘駅の乗降客数が1日2万7000人前後しかないのに、リニモに1日3万1000人の利用を見込むのは過大」と指摘しました。
 開業後の経営破たんは、同党の指摘が当たっていたと言えます。

県、新たに23億円投入

 愛知県などは、2008年度からリニモの赤字穴埋めのため、総額約115億円を出資してきました。
 さらに、借金の肩代わりを計画。大村知事が社長をつとめる県は新年度に23億5000万円を出し、沿線5市や民間企業に出資を呼びかけると言います。

大企業は負担を

 民間企業の支援がゼロの場合、県負担は97億円、沿線5市の負担は66億円にのぼると見られています。
 リニモは、愛知万博に間に合わせることは困難として、BIE(国際博覧会事務局・パリ)に正式登録された愛知万博計画には、観客輸送機関として盛り込まれていませんでした。
 これに対し財界が「万博の目玉に」と県に圧力をかけ、当時の神田知事は「絶対間に合わせたい」と発言。建設が強行されました。
 トヨタや名鉄などの大企業がリニモの借金返済と経営安定に応分の負担をすることは当然の責務です。

中央リニア開発暴走の危険 共産党の県議会復活急務

 愛知県議会で、大型開発事業の税金ムダづかいを追及してきた林信敏・共産党元県議は、リニアを起爆剤とする開発暴走の危険を指摘します。
 「安倍政権のゼネコン政治復活のもと、愛知の大村県政は、リニア新幹線の東京・名古屋間開通を既定事実として無謀な大型開発に突進しつつあります。いまの県議会には共産党議員がいません。野党不在のオール与党です。議会が批判精神を失い、リニア開発翼賛体制になります。人口減少・省エネ時代に逆行します。ツケは県民に回されます。来年春の県議選で日本共産党県議を復活させ、開発暴走に『ノー』を突きつけることが大事です」

桃花台線・あおなみ線

 自民党政治がすすめる大型開発と一体の第3セクター交通会社の経営が破たんしています。採算計画はごまかし同然でした。共産党が需要の過大予測を追及しています。
 【桃花台線】名鉄小牧―桃花台ニュータウン間の新交通路線。総事業費313億円。1991年開業。利用者は予測を大幅に下回り、赤字が累積。県や小牧市が巨額の税金投入で経営支援。2006年路線の廃止。
 【あおなみ線】名古屋駅―金城ふ頭間で運行。建設費928億円。2004年開業。利用者は予測の半分以下。名古屋市や県が巨額支援。赤字経営で「あかなみ線」と呼ばれる。