愛知民報

【13.11.24】大村県政提案の「国家戦略特区」 大木一訓氏が批判 企業収益のために 県民の財産を食い物

 
 革新県政の会は6日名古屋市内で、県民の暮らし、経済から大村県政を考える学習会を開きました。大木一訓・日本福祉大学名誉教授が講演し、大村県政が国に提案している「国家戦略特区」は「県民生活を改善する目標がない」と厳しく批判しました。その一部を紹介します。
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 大村県政がつくった「あいち産業競争力会議」の構成は財界代表と一部有識者の5人です。県の政策づくりでとってきた政労使の三者構成主義を破壊し、大企業だけで専制的な多国籍企業支配に転換するやり方です。
 国家戦略特区は国が規制緩和の内容と地域を指定し、あらゆる税・財政の優遇を行います。目的は、企業が世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくることです。特区を突破口にして規制緩和をやろうというものです。
 愛知県が提案する「特区」は産業中心です。「ものづくり産業強靭化スーパー特区」は、法人税の実効税率を最大20%台まで引き下げます。取るべきものをとらないで補助金を出すひどいものです。
 農業分野では「アグリ・フロンティア創出特区」を全国に先駆けて出しました。これは企業の農地保有や農業生産法人の規制緩和を進めます。
 「有料道路コンセッション特区」は自治体が持っている財産の所有権をそのままにして運営権を民間に譲り渡し、県民の財産を食い物にするものです。日常的な道路の修理ができるのか疑問です。経営破たんすれば県民負担の恐れがあります。
 この「特区」はアベノミクスと一体で、経済成長の意味が変わっています。従来はまがりなりにも、モノづくりで経済を成長させて県民生活を潤すという理屈が基本でした。大村知事がいう成長は、海外の権益を持ってくる、県民の財産を食い物にする―これで企業の収益を上げることです。これが「世界とたたかえる愛知」の本質です。