愛知民報

【13.11.17】カジノ議連に県選出議員 合法化ねらう

 刑法が禁じているギャンブル(賭博)の施設であるカジノを合法化する動きが活発化しています。「世界から日本に人と金を集める」という安倍政権の経済政策・アベノミクスを後押しするもの。自民・民主などの県内選出国会議員が参加するカジノ議連「国際観光産業振興議員連盟」(会長=細田博之自民党幹事長代行)は、今の臨時国会にカジノ解禁法案を提出し、来年の通常国会での成立をねらっています。この動きに不安と懸念が広がっています。

自・公・民 維・生活

 カジノ議連には自民、民主、維新、公明、生活の国会議員が参加しています。県内選出では、衆院議員3人、参院議員1人、衆院比例東海2人です(表)。
 愛知県関係の議員が多いのはなぜか。日本共産党の林信敏元愛知県議は「愛知の政治家は、カジノ合法化をねらうパチンコ業界との結びつきが強い。中部国際空港建設のさい、常滑の臨空都市構想にカジノを誘致する動きがでました」と指摘します。
 

行き詰まった 常滑誘致

 中部国際空港の対岸に広がる埋立地の前島。同地の大半は空き地のままです。ここには、世界中からヒト・モノ・カネが集まる臨空都市ができるはずでした。その目玉としてカジノ開設が構想されました。
 常滑商工会議所は2002年にカジノ構想を発表。08年に「臨空都市カジノ協議会」を立ち上げました。協議会はカジノの収益300億円、その中から税金と地元への助成金で計120億円が地域に還元されるとはじきました。
 しかし、カジノは解禁されておらず、空港利用が低迷するなか、収益試算の根拠もあいまい。同商工会議所は今年4月、前島への企業誘致に重点を置き、カジノ構想を見直すと表明しています。

名古屋市議 ラスベガスに

 2004年8月に、名古屋市議15人が公費で「豪華観光旅行」と言われる北米視察を行った際、そのうち7人が視察計画になかったラスベガスに足を伸ばし、1泊してルーレットやスロットなどのギャンブルに興じていたことがマスメディアから批判されました。
 ラスベガスに行ったのは、自民2人、民主4人、のちに減税日本の市議団長になり不祥事で辞職した則竹勅仁議員(当時は民主)。
 カジノ参加議員は「ラスベガスへの交通費や宿泊費は自費。目的は娯楽ではなくカジノの視察」と弁解しましたが、公費海外視察に便乗して金銭を賭けるギャンブルに興じたことは事実です。
 今日、名古屋市の国際エンターテインメント都市づくりの動きのなかで、カジノ誘致が浮上する可能性もあります。

推進する パチンコ業界

 安倍晋三首相はカジノ合法化に熱心です。カジノ議連の最高顧問に就任し、3月8日の衆院予算委員会で「メリットも十分にある」と答弁しています。
 カジノ志向のアベノミクスによる自社の株価高騰で資産価値を増やしたのが、パチンコ機械メーカーの経営者です。4月22日時点の株価で計算すると、愛知が拠点のSANKYO創業者の毒島(ぶすじま)邦雄氏は409億円、その長男で現会長の秀行氏は220億円、平和の大株主の石原昌幸氏は239億円などです。
 パチンコの業界団体「パチンコチェーンストア協会」は、カジノ推進の主力団体です。その政治分野アドバイザーには衆参36議員が名を連ねて後押し。そのうち4人が愛知選出議員です(表)。
 

「解禁は認められない」 日本共産党 大門参院議員 社会的害悪を警告

 
 カジノ合法化の動きに、不安が広がっています。その弊害として、暴力団の介入や青少年への悪影響、ギャンブル依存症拡大などの問題が指摘されています。
 日本共産党の大門実紀史参院議員は5月16日の参院財政金融委員会で質問に立ち、「カジノ解禁は認められない」と述べました。解禁された韓国では「カジノ周辺でマフィアや売春行為、ヤミ金融がはびこり、多重債務者の増加が報告されている」と指摘し、その害悪について警告しました。