愛知民報

【12.09.09】愛知県地方税滞納整理機構 まるで税金「取立て屋」 ?高校やめて働かせよ?

 愛知県が、滞納になっている個人住民税、固定資産税、国民健康保険税の取立て専門機関として、昨年4月に設置した愛知県地方税滞納整理機構。設立の根拠法もない組織ですが、県内6ブロックの機構に47市町村が参加し、徴収(取立て)を委託しています。
 機構は2011年度、市町村から引き継いだ約51億8700万円の滞納のうち約27億6500万円(徴収率53・3%)を徴収。目標の30%を大きく上回りました。
 機構による人権侵害の強権的な取り立てが問題になっています。
 津島市の建設業者は税金をまとめて払えず、少しずつ払っていましたが機構送りに。西尾張地方税滞納整理機構の担当者は、建設業者の分納の相談に耳を貸さず「一括で払うか、さもなくば差し押さえ」と迫りました。
 大治町の建設業者は「来月に入金があるので滞納は全額払う」と申し出ましたが、機構は取引先に行き売掛金を差し押さえました。
 機構職員から「子どもを高校中退させ働いてもらえ」と言われたのは愛西市の業者。「差し押さえられたら仕事も続けられず生活もできなくなる」の訴えに、機構側は「事業をつぶしている人は多いし、それも一つの手。仕事ができるかどうかはあなたの勝手だ。こちらは税金が入ればいい」と言い放ちました。
 これらの相談を受けた津島民主商工会は、日本共産党の地方議員とも連携し、機構の人権侵害の取り立てに抗議。各自治体に納税緩和措置の適用や、納税相談に応ずることなどを求めています。
 愛知県商工団体連合会(愛商連)は、県との交渉で、法的権限のない機構の解散、事情のある納税者に対しては徴収猶予などの積極的な活用を自治体に指導することなどを要求しています。

生存権守る税制を 愛商連 事務局次長 豊田宏さん

 景気の急激な悪化で多くの業者が「税金を払うと食べられない」実態です。最低の生活費には税金をかけるべきではありません。
 この滞納問題をきっかけに税制全般を考えて、憲法25条が保障する生存権を守ることが重要です。
 自治体は、住民のくらしを守り、福祉を向上させる本来の役割を果たしてほしいと思います。