愛知民報

【11.04.10】2011年度 名古屋市予算案 福祉を民間任せに 大型事業は継続拡大

 河村たかし市長の2011年度名古屋市予算案が同市議会3月定例会に提案されました。12日から代表質問や個人質問がおこなわれ、27日に採決される予定です。

 予算案は、市民と日本共産党が共同した運動でくらし・福祉の分野で前進がある一方、新たな市民負担増や「行革」の名による公共サービスカットも目立ちます。

市民要求反映

 昨年10月時点で1700人を超えていた待機児童対策として、民間の認可保育所が整備されます。新規13カ所、改築3カ所です。

 市立保育所では3歳未満児104カ所、3歳児14カ所で入所枠の拡大がおこなわれます。

 子どもの医療費は、10月から通院も中学卒業まで無料になります。

 子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチン接種費用が全額助成されます。妊婦健康診査に、血液型、血糖、成人T細胞白血病ウイルス抗体、クラミジアの検査項目が追加されます。

 特別養護老人ホームなど高齢者福祉施設の整備に対する補助も盛り込まれました。特養9カ所、小規模多機能型居宅介護支援事業所9カ所でいずれも民間法人への補助です。

市民負担増

 市民に負担を押し付ける利用料や手数料の改定も行なわれます(別表)。国民健康保険料の限度額が引き上げられ、5日に新しく開設される西部医療センターでは旧城北病院より高い個室料になります。保育料は値上げされます。

使用料・手数料値上げの一覧

 事項  内容 
 犬または猫の引き取り手数料(新設)  生後91日以上 1頭(1匹)2500円
 生後90日以内 1頭(1匹) 500円
 保育料  平均値上げ率 2.0%
 駐車場の有料化  緑文化小劇場、名城庭球場
 ともに300円/回(30分以内無料)
 国民健康保険料賦課金限度額引き上げ  医療分500,000円/年→510,000円/年
 後期高齢者支援分130,000円/年→140,000円/年
 介護分100,000円/年→120,000円/年
 みどりが丘公園墓地使用料  354,000円/平方?→364,000円平方?
 市立西部医療センター特別室使用加算額  特別個室S 1日 38,000円
 特別個室A 1日 30,000円
 特別個室B 1日 15,000円
 一般個室A 1日 
8,000円
 一般個室B 1日  7,000円

民 営 化

 市営の施設の廃止や民営化が進められようとしています。

 軽費老人ホーム緑寿荘に4月から指定管理者制度が導入され、身体障がい者授産施設緑風荘は社会福祉法人に移管されました。

 苗代保育園の民営化につづき、2012年度から汐見が丘保育園を民営化する準備がおこなわれます。稲葉地・名東両プール、平田幼稚園は3月限りで廃止されました。
 城西病院は3月末で民間医療法人に売却。緑市民病院は分べんが廃止され、来年度から指定管理者制度導入が予定されています。

徴 税 強 化

 財政局内に市税、国保料など債権を専門的に管理・回収する組織を設置します。未収金の回収目標は約100億円。督促強化や預貯金・生命保険の差し押さえもふくめ、取立て強化がはかられます。

大 型 事 業

 大型公共事業は温存されています。天守閣木造再建など名古屋城整備の調査費を計上。本丸御殿復元工事は続行です。財界が要求する大型事業が盛り込まれた「名古屋大都市圏戦略」の調査研究費も計上されています。モノづくり文化交流拠点構想も推進されます。

企 業 誘 致

 産業分野では、企業誘致が重視されます。
 航空宇宙・次世代自動車関連企業の立地促進のため、市内に工場を開設する企業への助成が拡充されます。
 研究開発型企業誘致を目的に、守山区志段味の企業団地「テクノヒル名古屋」に立地する企業の建物・設備への助成も増額されます。