愛知民報

【10.11.21】トヨタ黒字でも生活苦 もうけ、市民に回らず 日本共産党豊田市議団「家計直接応援を」

 トヨタ自動車の黒字回復が伝えられていますが、同社の本拠地・豊田市では市民の生活悪化が深刻です。

 日本共産党豊田市議団がおこなっている市民アンケートの回答の中間集計によると、家計状態が「かなり良い」「少し良い」はそれぞれ1%。「かなり苦しい」31%、「少し苦しい」46%と、生活苦の訴えが合わせて77%にのぼっています。

 家計が苦しくなった理由には、社会保険料や税金、医療費の負担増、賃下げの影響があげられています。

 アンケートの回答欄には市民の声がびっしり書き込まれています。

「国保税が高過ぎて生活が成り立ちません」

 「主人は建設業。単価は10年前の半分。年金も積み立てられない。老後が心配」

 「最優先で進めるべきは子育て世帯への支援。勤務先の不安定さに、2人目の子どもを産むのをあきらめた。夫婦共働きで一人っ子しか育てられない。これで先進国なのだろうか」

 「エコポイントなど、特定業界だけの優遇策はやめるべきだ」

 「わが街にはバス路線がない。愛知環状鉄道の駅まで歩いて15~20分かかる。坂があり大変。『とよたおいでんバス』がくるとありがたい」

 「老夫婦2人暮らしで夫の通院にタクシーを使う。何のための介護保険か。豊田市駅周辺は箱モノでりっぱだが、交通不便で行けない」

 「歩道がない道が多い。クルマ社会でも田舎すぎる」

 同党の大村義則豊田市議は、同党愛知県委員会が10日おこなった地方議員研修会で豊田市の状況を次のように訴えました。

 豊田市民の平均所得は5年前に比べて38万円減り、200万円以下の低所得層が2万人近く増えています。

 義務教育の教育費を公費補助する就学援助の受給世帯は5年間で1・3倍。生活保護の受給も過去最高。「働く意志があっても雇用がないために生活保護を申請したもの」が230件あります。

 小規模事業者の経営もきびしい状況です。課税対象法人のなかでもっとも規模の小さい「1号法人」は市内全事業所の7割を占めています。その8割は赤字です。

 他方、この10年間に豊田市が支出した産業立地補助金は66億円。そのうち46億円余はトヨタ系の大企業に渡りました。

 大村議員は「大企業に税金で補助しても内部留保にため込むばかりで、内需拡大に循環しない」と指摘。

 「大企業を応援すれば、自然に経済社会が良くなるというトリクルダウン政策は失敗した。市民の家計を直接応援する所得再配分政策に転換すべきだ」と強調しました。