愛知民報

【10.07.18】消防広域化 足踏み状態 「安全安心」に不安 

 旧自公政権が決め、現在の民主党政権も推進している「消防広域化」が足踏み状態になっています。

 消防本部の数を減らし、担当地域を広域化しながら消防活動を効率化するという計画ですが、政府の思惑通りにすすまない背景には、広域化で火災から住民の生命と財産を守る消防本来の任務が弱まることへの不安があります。

県内11に

 戦後、消防本部は市町村に設置され、市町村長が消防に直接責任を持つことが基本とされてきました。旧自公政権はこの原則をくずし、市町村の本部を解消し広域ブロックの消防本部に統合するようにしました。市町村合併の消防版です。

 消防庁が示した1消防本部当たりの人口規模は「30万人以上」。愛知県はその基準を目安に県内を11ブロックに分け、現在37ある消防本部を11に減らす消防広域化推進計画をまとめました。

メリットあるか

 東三河ブロックでは、現在5市にある5つの消防本部が1つに統合されます。

 東三河の消防関係者が研究したところ、広域化した場合、消防機能を維持するためには「現状より189人の増員が必要」と結論しています。

 広域化で、人件費などの経費を節減するという手法は消防力低下につながります。

解決にならぬ

 国は、消防力の充実・強化をはかるため、設備や人員の整備基準を定めています。
 大府市消防は基準の66%。住民1人当たりの消防費は県内最低です。市長は、消防力の弱さを認めたうえで、消防広域化でカバーしたいと言います。

 しかし、県内のどの消防本部も基準の6割台が実態。

 「消防力の弱いもの同士が一緒にやっても消防力強化につながらない。広域化によるリストラではなく、基準を満たす消防力の抜本的強化こそやるべきこと」と消防関係者は強調します。