愛知民報

【10.07.11】元気な自治体運営バス 民間バス廃止後、住民の足守る

 「公共交通機関の空白地域の克服」「お年寄りなど自家用車を運転しない人の交通手段確保」を目的に、市町村が運営するコミュニティバスが県内各地に広がっています。
 

通勤・通学にも対応

 弥富市では6月21日、従来の福祉目的の「巡回バス」を通勤・通学利用にも利用できる「コミュニティバス」に位置づけました。1999年に運行開始した巡回福祉バスは、車両数、路線数も増やされてきました。06年4月の十四山村の合併による市域拡大にともなって経路・ダイヤが拡充され、年間延べ利用者数は99年の1万4478人から08年の6万2691人と年々増加してきました。

 市を東西に貫く近鉄名古屋線の弥富、佐古木両駅を拠点に、通勤・通学に対して運行時間は始発は7時台、終発は21時になりました。バスが増やされ、車いすで直接乗り降りできるノンステップバスも一部系統で導入されました。

 弥富駅南口でバスを待っていた男性は「今までもっぱらタクシー利用でしたが、初めてバスを利用します。ちょうどいい時間にあってよかった」と話しバスに乗り込みました。

運賃低減

 南知多町では現在、知多バスが運行する4路線のうち、廃止される2路線が10月から同町のコミュニティバスに転換されます。

 同町が6月に示した実施案では、コミュニティバス化で町内160円、隣の美浜町まで乗っても300円。運賃は、現行の知多バスより大幅に軽減されます。

山間部では 

 三河山間部では自治体の区域を越えた取り組みも始まっています。設楽町、東栄町、豊根村は今年1月から共同で「北設楽郡総合交通システム・おでかけ北設」を導入。町村相互を結び、JRに連絡する基幹バスと、町村の中心部から離れた各集落を結ぶ支線バスに整理されました。

 今年5月から設楽町、東栄町の支線の一部で、昼間帯の予約バスが始まっています。会員登録した住民が前日までに電話予約すると、自宅近くの停留所にバスが来る仕組み。タクシーとは異なり“乗合い”です。

行政・地域一体で

 02年の道路運送法「改正」で、バス路線の廃止が許可制から届出制に“規制緩和”されました。民間バス会社は不採算路線から次々と撤退。その結果、多くの公共交通空白地域が生まれています。地域の日本共産党と住民が共同し、JR・名鉄などの路線バス廃止に反対しつつ、コミュニティバスの拡充を求める運動に取り組んでいます。