愛知民報

【10.03.14】地域医療の発展を 久保田武・愛知県社会保障推進協議会副議長に聞く

 愛知県社会保障推進協議会(愛知社保協)は昨年末から今年1月にかけ、県内24の自治体病院を訪問し、医師不足問題などについて懇談しました。久保田武副議長に聞きました。

医師不足

 医師について「07年の44人が最低。現在は52人」(西尾市民病院)と、改善している病院もあります。

 しかし「昨年8月から心臓外科を休止し、循環器病棟を縮小」(半田市立半田病院)、「婦人科の手術は3カ月待ち」(豊川市民病院)など引き続き医師不足状態が続いています。

 看護師についても「30人くらい不足で1病棟を閉鎖」(津島市民病院)と深刻です。

独自努力

 各自治体や病院で様ざまな独自努力がおこなわれています。

 医師対策では「地域手当のアップ、宿日直の加算」(津島市民病院)、「医局室を増設し、女医専用室や仮眠室の設置」(西尾市民病院)がおこなわれています。

 看護師対策として「院内保育園の24時間保育を実施」(碧南市民病院)していました。

地域連携

 地域との連携で勤務医の負担を軽減する努力も強まっています。

 「地元医師会から15人の医師が平日の午後8時から10時、土曜日の午後3時から6時に救急外来医を派遣」(西尾病院)、「地元医師会の有志が昨年4月から第2日曜日の休日診療をおこなう」(常滑市民病院)などで、勤務医の負担軽減を図っています。

「改革」矛盾

 総務省は07年に「公立病院改革ガイドライン」を策定しました。同省は各自治体に改革プランの作成を指示しました。昨年3月までに県内の全公立病院で策定されました。

 プランは様々な矛盾を作りだしています。「プラン策定後に県立循環器呼吸器センターとの統合が決まった。見直しが必要」(一宮市立市民病院)「経営形態の見直しは考えていない。今後も公立でやる」(岡崎市民病院)などの意見が出ています。

 地域医療問題は、国政・地方政治の大きな問題です。私たちは夏の参院選、来年のいっせい地方選の争点として注目し、よい地域医療をめざします。