愛知民報

【08.04.20】中部国際空港 開港3週年 見えぬ臨空国際都市 

前島には雑草が生え

 前島の中部臨空都市用地「分譲中」の大看板も
 中部国際空港開港3周年。トヨタ流コストダウンで黒字といわれる同空港ですが、旅客・貨物は減少傾向。なのに、財界と神田県政は2本目の滑走路をつくれと国に陳情。建設費は1200億円とも。知事は県も金を出すと言いました。この動きにたいし、県民から需要無視の無謀開発と批判する声があがりました。「中部国際空港・関連開発問題を考えるネットワーク」は13日、常滑市内で第4回総会を開き、同空港の3年間を検証しました。総会での発言を紹介します。

ヘドロたまり貧酸素

 寺井久慈氏(中部国際空港島海域調査研究会員・中部大学応用生物学部教授) 

 空港島建設前に、日本海洋学会は周辺浅海域では貧酸素と底質の劣化が起きる可能性が高いと警告したが、建設後の私たちの調査でそれが実証された。
 空港島と前島によって潮流がさえぎられ、貧酸素や高濃度の赤潮が発生するようになった。海底のヘドロ化がすすみ、貝類が激減している。貧酸素、浅場喪失、栄養不足で、アサリ、ノリ、カレイも減少。漁業生物に悪影響が出ている。
 前方は空港島、手前は前島

旅客・貨物も減る

 瀬木俊一氏(空港を考える常滑市民の会)

 中部国際空港の乗降客数は05年度をピークに減少している。国際貨物取扱量も23万トンから20万トン程度に減っている。

 ターミナルビルの一般物販店や飲食店の売り上げは開港年の半分だ。
 第2滑走路は全く不要といわざるをえない。
 伊勢湾フェリー常滑港跡(鳥羽行き航路は2007年3月末廃止)

「町開き」見えず

 佐々木志津江氏(常滑市議)

 空港税収があっても福祉は削減されている。常滑市の08年度の法人市民税収は前年度より7・3%減る。製陶業が11社廃業した。

 前島に進出するイオンに常滑市は10年間で23億円もの立地奨励金を出す。

 市街地に賃貸のワンルームマンションが増えているが、市が開発しているニュータウンの宅地分譲はきびしい。町開きの見通しが立たない。「空港従業員のための住宅用地造成」は破たんした。
 りんくう常滑駅は無人駅