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水道民営化に〝待った〟もうけ対象にしないで

浜松市の膵臓民営化の問題点を報告する池谷さん=8日、浜松市北区

 「命の水をもうけの対象にしないで!」。浜松市が水道事業の民営化を計画していることから、市民の中に反対する運動が広がっています。7、8両日に市内3カ所で七夕連続学習会が行われました。

 学習会を主催したのは「浜松市の水道民営化を考える市民ネットワーク」です。6月10日に設立総会を開き、水道民営化の実態を市民に広く知らせようと連続学習会を企画したものです。3カ所で合わせて200人が参加しました。

 学習会では、市民ネットの池谷たか子さんが浜松市の水道民営化計画の問題点について報告。名古屋水道労組委員長の近藤夏樹氏が「水の自治を住民の手に」と題して講演しました。

 浜松市では、下水道事業が今年4月から「コンセッション方式」(公設民営)で民営化され、仏企業の日本法人が運営を行っています。市は上水道事業も2022年に民営化する計画です。

■ 役員報酬コスト増

 学習会で池谷さんは、「浜松市の水は安くて良質」で、毎年約10億円も黒字ですと指摘。市が「民営化すれば老朽化した水道設備更新の費用を抑えられる」と説明していることについて、「民営では、企業利益や役員報酬など、公営では発生しないコストがかかります。それでも民営のほうが安いとなれば、地元の水道工務店の請負金額が下げられる恐れがあります」と強調しました。

 近藤氏は、「公営なら料金収入による利益は、将来の設備更新に活用されます。しかし、民営となった場合は企業のもうけになるだけ。もっと利益を上げようとすれば、賃下げが行われ、労働者にしわ寄せがいけば、水道水の品質が確保されない可能性があります」と指摘。「水は『商品』ではありません。公共の財産です。利益の対象にすべきではありません」と述べました。

■ 世界では弊害数々

 世界では、いったん民営化されたものの数々の弊害が生まれ、再公営化の動きが加速していることも紹介されました。フランスのパリ市では水道料金が高くなっただけでなく、水道管理が全くコントロールできなくなりました。設備の修理や管理の透明性を求めても、企業をチェックするのは難しいことが分かったといいます。

 安倍政権により水道民営化を可能とする水道法改定案が提案されています。浜松市の水道民営化は、この法改定を前提にしています。

 参加者からは、「もうけの対象に、大事な水を利用されては困る」「(民営化は)絶対反対。市民すべてにこのことを知らせるべき」「国民のための水を海外企業に売り渡さず、守らなければならないと思った」など、民営化を不安に思う声や、疑問視する声が多く寄せられました。

 参加した東区の男性(65)は、「水道は命の水だ。商売道具ではない。損得抜きに生命にかかわるところは守ってもらいたい」と話しました。

(7月18日 しんぶん赤旗)