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介護事業所の6割減収 廃止検討・給与カットも

報酬引き下げの影響深刻 愛知社保協がアンケート

 愛知社会保障推進協議会(森谷光夫議長)は、今年4月からの介護保険改定(介護報酬の大幅引き下げ)で介護事業所にどんな影響が出ているか、尾張地域の介護事業所にアンケート調査を行いました。多くの事業所が減収になり、利用者、職員に深刻な影響がでていることが浮彫になりました。

 調査は7月に一宮、稲沢、北名古屋、清須、岩倉、江南の6市と大口町の7自治体で実施。約700事業所に郵送し、137事業所から回答がありました。

 昨年と比較した今年の収入は61.3%が減収と回答しました。とりわけ、訪問介護は69.6%、通所介護は85.1%、通所リハビリは66.7%が減収と回答。昨年より平均で12~17%の減収といいます。

 減収と回答した事業所のうち5.9%が「事業の廃止」を検討。続けるとした事業所でも「営業日を増やし稼働率をあげる。新規事業に着手」など工夫している」と回答。管理者・経営者の給与大幅カット、職員の賞与見送りをおこなった事業所もあります。

 介護事業所職員の賃金(時給)は平均984円。グループホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、ショートスティの職員は平均800円台となっています。愛知県の最低賃金(今年月から円増の820円)は800円です。

 安倍政権は「介護職員の待遇改善のための介護保険改定」と主張しますが、実態は改善どころか低賃金が加速しています。事業所によっては収入を増やすため、介護報酬の低い要支援者や介護1,2の軽度の人の受け入れを抑制する動きも出ています。

 愛知社保協の小松民子事務局長は指摘します「在宅の要支援や軽度の要介護者が楽しみにしているデイサービスなどは報酬が低く、多くの事業者が撤退しかねない。国は3年後の改定を待たず、国庫負担を増やし早急に介護報酬を見直すべきだ。市町村は国に働きかけ独自の支援策を実施すべきだ」と強調しました。
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 同社保協は「いい介護の日」の日(水)午前時から午後5時まで「介護・認知症なんでも無料電話相談」をおこないます。介護の専門家や「認知症の人と家族の会」の相談員が答えます。相談電話はフリーダイヤル0120(287)110。問い合わせは愛知県社会保障推進協議会052(889)6921へ。

(11月6日 「しんぶん赤旗」東海・北陸信越のページより)