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教科書展示会行こう 「戦争肯定」採択許さない。愛知で市民ら集会

 
 侵略戦争美化の教科書を採択させないためにと市民や学校関係者100人が13日、名古屋市内で愛知県民集会を開きました。参加者は「教科書展示会で育鵬社、自由社の教科書にノーと書こう」と意思統一しました。主催は「『戦争を肯定する教科書』の採択を許さない愛知県実行委」。

 教科書は4年に1回、教育委員会が審議し何を使うか決めます。今年は中学校教科書採択の年です。県内の主な図書館などで教科書を展示し、市民が意見を書き込めるようになっていて、審議に一定反映されます。

 前回採択時、名古屋市では南京虐殺否定発言をした河村市長のもと、侵略美化教科書(育鵬社・自由社)が採択される危険が高まりましたが、市民の運動で阻止しました。河村市長が前言を撤回しない中、今年も侵略美化教科書が採択されるのではと広範な市民から懸念の声が上がっています。

 集会では元愛知大学教授の安井俊夫氏(子どもと学ぶ歴史教科書の会代表)が講演。安井氏は戦中の子どもの姿をみると当時の不合理性が分かるとし、学童疎開を例にあげました。

 学童疎開は空襲被害から子どもたちを守るものと受け止められているがと前置きしつつ「身体虚弱児童は将来の国防力を担えないとされ残留させられた。残留組は疎開組のためにカボチャなど野菜を作らされ、東京大空襲では残留組が壊滅状態になる悲劇に見舞われた」と語りました。一方、疎開組の子は、「食べ物不足が深刻で、体力が低下すると帰宅させられる子もいた。空襲で家族が犠牲になり、戦後、故郷に戻って初めて知らされる子もいました」と切々と訴えました。

 名古屋市瑞穂区の女性(42)は、河村名古屋市長が南京虐殺を否定していることに危ぐして参加。「安倍政権が集団的自衛権を行使しようとする中で、前回採択時よりも危険が増しているので運動を広げたい」とのべました。

 日本共産党の高橋ゆうすけ名古屋市議らがフロア発言しました。

 集会では、育鵬社と自由社の教科書は「戦争をする国・改憲へ誘導するもので、安倍政権の広報誌のような内容」などとするアピールを採択しました。

(6月15日)