ニュース

震災から19年 最後の1・17追悼式

 

 愛知県内の中学・高校生でつくる「大震災でお父さんお母さんを亡くした中学生高校生に奨学金を贈る中学生高校生の会」は17日、名古屋市中区の繁華街で阪神・淡路大震災の追悼式と募金活動を行いました。毎年取り組んできたもので、震災から19年が経ち、震災遺児・孤児が今年度すべて卒業するため、今回が最後の追悼式です。会OBも含め約200人が犠牲者に祈りをささげました。
 
 生徒たちは広場の一角に、震災犠牲者の1割にあたる643本のろうそくで「1・17」の火文字を浮かび上がらせ、全員で黙とうし、追悼の思いをこめた群舞も舞いました。
 
 会長の水野佑哉さん(南山高校2年)は、「活動に区切りを迎えるのは少し寂しい気がするけど、これで終わったとは考えていません。東日本大震災も大変な状況だし、愛知でも地震が起こるといわれています。孤児たちの苦しい思いは今後も消えないでしょうし、これからも一緒にがんばっていきたい」と語りました。
 
 中高生らは、毎月17日の募金活動を続け、19年間でのべ9000人の生徒が参加し、280回を超える募金活動をおこなってきました。孤児のべ554人に総額3138万円の激励金を贈ってきました。東日本大震災後には、会の名称から「阪神淡路」の文字を外し、震災で孤児となったすべての中高生を応援しています。
 
 寒風のなか募金箱を抱える吉田有希さん(南山高校2年)は語ります。「集めたお金はたいした額じゃないかも知れない。でも励ましの思いは送ってこれたんじゃないかと思う。神戸の街はきれいになっても大切な人を亡くした傷は深いし、今後も同世代の仲間を支えていきたい」
 
 最後と聞いて神戸市長田区から、町づくり協議会の河合節二さんが参加。震災直後、地域の教会を拠点に活動する生徒たちの姿を鮮明に覚えています。「仮設での炊き出しや高齢者の手伝いなど幅広い分野で支援してくれて、またこんなに長い間活動を続けくれたこと、本当にありがたい…」と、言葉を詰まらせました。
 
 会顧問の東海高校教師・久田光政さんは「19年間続けてこられたのは生徒たちのおかげ。でも、孤児の卒業ということでは東日本はあと16年残っている。センチメンタルに振り返る時ではなく今後も生徒たちとがんばっていきたい」。
 
 同会は、OBらが立ち上げたNPO法人愛知ボランティアセンターとともに、東日本大震災で被災した中高生のために毎月11日に募金活動は続けていく予定です。被災者に直接募金を届け励まし続けた先輩の精神を受け継ぎ、ねばり強く活動を続けていきたいとしています。